今日はゆっくり家事を進めていこうと思って、午前中は布団の中に潜り込み、うとうと船をこいでいた。
夫が通院先から、連絡がきてるなら一人で行ってきて、と言うので、しばらくゆっくりしてから、支度をして家を出た。
家を出ると、まだ肌をつんとさせるような冬の風が顔に当たり、私は思わず首元のマフラーを触る。
クリニックに着くと、受付の事務さんが目配せしていて、書類を受け取る前に、診察室に入るように、うながされる。私は幾つか、心を整理してから、答える言葉を思い浮かべては、悩む時間を過ごした。
診察室に入るなり、旦那さんは大丈夫ですか、と心配顔の医師に、大丈夫ですが、と目をぱちくりと驚いて答えると、医師はほっと肩を撫で下ろす。どうも医師は夫の肝機能障害を本当に過信していて、なおかつ、私の飄々とした様子も心配していたようだ。
医師は私に目線を定めると、人生は目標を達成するために努力することに意味があるけど、達成できなくても、きっとその経緯が自信に繋がるから、そうしたら、病気も寛解しているよ、と言葉を紡ぐ医師に、静かに話を聞いていた私は、ありがとうございます、とすこし微笑し、ぎしっと席を立とうとすると、医師は、続けて、これから次の先生のもとでも、正しく苦しさや悩みを訴えて、正しい治療を受けてください。陰ながら応援しています。と締めくくった。私はいま一度、お礼をのべて、診察室をあとにして、会計も終わらせてから、クリニックから帰ったのだった。
今夜も眠れない。少しだけ憂うつな気持ちが、こころを揺らめいてる。