入社式の会場に着くと一人一本、某エナジードリンクが配られた。
「さっそく、徹夜!?」と戦々恐々しなががら、社長のお言葉を頂く。
入社式後の研修は、6人1グループを組んで行った。グループでランチに行きすんなりと親睦を深められたので、意外と緊張感なく過ごすことができた。
その余裕がいけなかった。研修の一つで「お酒のトラブル」について、ドラマを見て学んだ。
要は、「イッキ飲みはやめましょう」「お酒の強要はやめましょう」「泥酔して周りに迷惑かけないようにしましょう」という当たり前の話。
このドラマを見た後、グループごとに感想を共有するのだが、そこで、やってしまった。
ドラマのネタバレを堂々としながら説明すると、ドラマは「世にも奇妙な物語」風。「みなさんにはお酒を嫌いになっていただきます」と、人を酒嫌いにさせるビジネスを展開する「小出恵介」。最初のターゲットは、アルハラの権化。ゴリゴリの営業マンで、若くから成績を残し、取引先のご令嬢と結婚した充実ぶり。
しかし、当然その実態は「アルハラ上司」。取引先との接待飲み会で、部下にイッキ飲みを何度も強要する。部下が会社を辞めても、「俺の方が飲んでる。気合が足りない」と新しい部下にも懲りずにアルハラを繰り返す。
小出恵介は、そんな「アルハラ上司」の元に現れ「お酒を嫌いになっていただきます」と言い残す。ある晩、アルハラ上司に病院から電話が入る。
電話の数時間前、「アルハラ上司」の妻は女子会をしていた。すると、女友達の一人が彼氏を連れてくる。その男は「アルハラ上司」の元部下だった。元部下は、「旦那さんには、とことん飲まされたんですよ」と言いながら、妻にイッキを繰り返させる。そして、急性アルコール中毒で亡くなる。
病院についた旦那は、妻の遺体を前に感情を爆発させる・・・といったぐわいに、酒を嫌いになるお話。
これを見てグループで感想を共有するのだが、当然ほとんどの意見が「お酒は節度をもとうね」ということであり、それでいいのだが、なんだか私は大学時代のゼミのテンションが抑えられなかった。
「ドラマでは、最愛の妻をお酒で亡くすことが夫にとって悲劇的に描かれてるけど、全然リアリティが無くて冷めちゃう。飲み会をイッキでしか盛り上げられないアルハラ男に、妻を愛することなんてできないから、大した喪失感もないだろうに。やるとしたら、自分の子どもが成人になって、急性アルコール中毒で亡くなる方が、まだリアリティがありそうだよね。」
と、割と真面目な口調で、共感を求めながら喋ったのだが、メンバーは返答に困り、苦笑いを浮かべた。さっきまで、休憩時間も楽しくおしゃべりしていたのに。。。
冷静に考えて、研修中にこんなことを言われても困って当然なのだが、やはり大学の自由に脱線できる空間を懐かしんでしまう。
「アルハラに人は愛せない」「でも子どもには愛着もちそう」という適当な断定について、みんなで半分冗談・半分本気に考えたい。そんな思いを吐露しつつ、同期のみんなが明日も仲良くしてくれることを願う。