4年のベスティング

ンゴ
·

今の職場でもう3年が過ぎようとしている。入社時に約束したストックオプションを貰い終えるまで、まさに最後のコーナーを曲がるというところである。これまで出会った同僚を始め、同業種の人々を見ている限り、4年という節目はひとつのスタートアップで勤めるある種の上限的なタイミングであり、転職を考えるのなら残り1年を切ったころには動き出しても尚早とは言えないだろう。実際にはずっと短く、2年くらいが多くの人にとっての目処だったり、クリフを越える最初の1年を以て辞めるなんて人も何度か目にした。

幸福なことかもしれないが、今の職場よりも自分にとって良い場所を見つけられる自信があまりない。経済的な面では他にチャンスを求める方が足元の収入も将来的な資産のリスク分散の面でも、5年目を同じ職場で迎えることは最も望ましいとは言い難い。雇い主からはそれなりに評価を得ていて、2年半を過ぎた頃に5年目以降付与のストックオプション、いわゆるリフレッシャーを早いうちに貰えたので行使価格が上がれど最初のベスティングの終了即大減収ともならないことは約束されてしまった。

同僚に冗談半分で「起業するなら手伝うからね」と言うことがある。いまの職場の良いところを保ったまま、違う会社に入る目的としては悪くない手段なのだが「今の職場のファウンダー二人を見ていると、起業する気が失せたのでやらないよ」と返され、まさに自分がスタートアップのファウンダーというやつになりたいと全く思わなくなった理由が言語化されて投げつけられたのが頭から離れず、今の職場へのややワーカホリックな尽くし方をこのまま続けてしまいそうである。もう彼らのような起業家には出会えないかもしれない。