夕暮れから夜へ

ho4thuki4
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指切りをしなくたって、明日も会える。これがどんなに素敵なことか。

忘れていたことだ。遠い昔に置いてきたことだ。夕暮れに、あの子に手を振った思い出に。

あんなに当たり前だったのに、大人になって振り返ってみると夕暮れの中には他人ばかりになっていた。また会おうね、とかわした口約束も果たされることなく忘れ去られていく。

社交辞令ばかりの世の中に、きっと飽き飽きしていたのだと思う。約束は破るのが当たり前で、指切りもしなくなった。代わりにたとえ破っても、針を千本飲む必要もないのだけれど。

つまらない、大人になったものだと思う。でもきっと、これが普通で、これが大人になるってことで、一人で生きていけるってことなのだ。みんな少し寂しくて、みんなうっすらときっと裏切るんだと思っていて、他人に対する期待を捨ててしまった。それが大人で、それが優しさで、それがいいことなのだと、何となく思っていた。仕方ないのだ、みんなそう、私もそうならなきゃ、だってそれが普通だから。

あぁ、寂しい世界。でもすこしだけ息がしやすくなっているのは、私が現代人だからだろうか。

@ho4thuki4
見上げた夜空の月が綺麗だと、少し嬉しくて...誰かに言いたくなるんです