子どもが風邪をひいた

角田スミ
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子どもが風邪をひいた。

文字に起こして、ちょうど十。大した出来事でもないし、言ってみればそれも含めて日常である。

それでも赤子が一人具合を崩すだけで、私の世界も音を立てて崩れるようだ。通院、投薬(泣いて暴れる。幸い、まだひとりの力で抑えられる)、他の兄弟のスケジュール管理、家事、自分のしたかったこと。レゴブロックていどの結びつきで成り立っている一日が、ほんの些細な刺激で離散する。

残念なことに今週は「自分のしたかったこと」に時間を割く予定だったのだが、そうも言っていられない。でもなあ、それがあるからこそ、私はこの飛び散ったレゴブロックをどうにか集められるのだ。

とはいえ起きてしまったことは起きてしまったことなので、そして私はレゴが壊れたと泣いて暴れることができる立場にないので、まあ、それなりかなというところに元に戻していく。

なにより具合が悪い子どもを見ているのは悲しいので、早くよくなってほしい。そしてまたそこそこの脆弱さをもつタワーを積み上げる。

もう一人の兄弟に忍び寄る風邪の気配を感じつつ、今これを打っている