テッド・チャンの小説の映画化の。
原作は「あなたの人生の物語」で、映画の原題が「ARRIVAL」(到着)で、邦題が「メッセージ」で、一体なんなんだこれはと思っていたんだけど、観てみたら面白かったです。ネタバレがあります。
まさに小説を原案にして味を付けた映画という感じで良かった。ヘプタボットもやたらと美しいんだけど、空間の閉塞と解放の交互浴が音楽と合わさって感性を揺さぶってきた。ヘプタボットの声のように響いたぜ……ここにな!(心を指差す)
アカデミー音響編集賞なんですね。そんなカテゴリがあったんだ。映画館で音の振動感じたかったな。
人は死ぬとか、人は離れるとか、人生のネタバレを知っても愛することはできるみたいな……物語ではなくこの世のネタバレ。いや、これはあなたの人生の物語なんですけど。映画版はどちらかというとわたしの人生の物語かな。
時間の流れが線ではないというのはSFではいろいろなパターンが見受けられる設定なんですが、アプローチが言語学なのが面白いと思いました。非線上で見えるようになって視野が広がりすぎた結果、その瞬間への愛に溢れるというのは救いのある話だと私は思った。ただ、未来を自分の手で変える!みたいな少年漫画メンタルの人は反感を覚えるかもしれない。私は最近人間の自由意思について思うところがあるので一助になりました。
気になって原作も読んだ(途中まで読んで積んでた)。原作では「歓喜の極致なのか、それとも苦痛の極致なのか?」という話で答えは提示されてなかった。先月のSTUDIO 666に続いて六部(ジョジョ第六部のことです)の話してしまうんですけど、プッチ神父の作りたかった世界ってこれかなと思ったりはしました。
あれが悪いものかどうかはやってみないとわからない、と考えてる人って一定数いる、と私は思い込んでるんですが、テッド・チャン的にはこうなったんだ、という遠い作品における考えの結びつきがございます。
言語を学べば考え方が変わるというのはその通りで、なぜその実感があるかというと、Duolingoやった結果Redditのおしまいミームが面白く感じられるようになってしまって、いま入り浸っているからなんですね。ろくでもねー! メッセージの感想をろくでもなエピソードで締めるんじゃないですよ。