ジャンル : アクションRPG
吸血鬼が出るか出ないか : 出る
序文
※1997年のゲームなのでネタバレを気にしません。急に何もかも知らない状態で今すぐプレイしたくなった人は引き返してください。

初見です。よろしくお願いします。がんばります。
突然やりたくなりました。きっかけはというとアストロボットに悪魔城ドラキュラの上の画像のお二人が出ていたからです。脳細胞にしまわれた、そういえばやりたかったなあという気持ちが刺激され、気がつけばPSStoreに駆け込んでいました。
そうです。このゲームのことは知っていました。かっこいいパッケージイラスト、耽美な世界観、どう考えても好きなテーマ、惹きつけられないはずはないのですが、今日このときまで触れてこなかったのはアクションゲームだからです。
私はアクションゲームは得意ではない、しかしアストロボットの試練が意外とまあまあできたのでやってみようと思いました。これも宇宙のヒーローアストロくんのおかげということです。ちなみに、調べてみて知ったのですが月下の夜想曲は難しくないそうです。ほんと~?
ゲームプレイ
ほんとだった。何度かゲームオーバーにはなったけど確かに難しくなかったしめちゃくちゃ面白かったです!
難しいと感じたのは一番最初に操作がわからなくて水に落ちたときと、後半でアルカード装備と偽物のアルカー「ト」装備がごっちゃになって装備画面で手間取るとき、あとは何体かの強敵に出会った時くらいでした。強い武器、お金で買えるポーション、セーブポイントで全回復。特別詰まることはありませんでした。

回転する棺桶がセーブポイント。

グラフィックと音楽がすごくいい。森を駆け抜けて、上がろうとする跳ね橋に飛び込み、ザッと滑り降りて悪魔城に突入するかっこいいアルカード、これが滑らかなアニメーションで表現されている。いい。すごくいい。そうして荘厳な廊下を進んだら最初の曲が流れ始めるんですよ。

ドット絵(ピクセルアート)が一周回って絵柄として確立したこの現代に出会う月下の幻想曲、誇張抜きでまったく古さを感じない。ただ純粋にグラフィックがめちゃくちゃ優れた美しい画面のゲームとして私の眼の前に爆誕しています。なんだこれは。

もちろん風景だけでなく敵も凄まじい。特にボス、凄まじい描き込み、凄まじいアニメーション。

そして、本当に悪魔城という場所の探索が楽しい。
階段の上から鉄球を転がして悠々と敵を殲滅するギミックとか、城の地下にこんなに空間が!?と驚く構造とか、遠くから滝の音がして近づいたらでっけ〜滝があるとか、行きはコウモリに変身して超音波で暗闇を見通してトゲを避けながら進まないといけない場所を、帰りはスパイクブレイカでトゲをこそげ落として楽々とか、ほんとに予想がつかないことばかりで…

びっしり生えたトゲを徒歩で脱毛しているアルカード。
コウモリになれる、霧になれる、狼になれる。ヴァンパイアでやりたいこと全部できる。最高。ということは最強の半吸血鬼で無双するゲームなのかな?と思うかも知れませんが、違うんですよね。
なんと最初に装備を全部取られていたのでした。拾った武器と服でやりくりしていくのがアルカードさんです。ダンピールレベル1。

「我らの元に戻れとは言わないんだ…いい人じゃん…」とか思ってたら装備全部取られる。
戦闘もイメージと全然違いました。デビルメイクライみたいなのを想像していました。違った。堅実なヒット&アウェイ、地道な連続攻撃、しかも剣やナイフだけでなくナックルやトンファーも使える多才ぶり。アルカードといえば剣と盾の印象が強いので、この要素をほんとに知らなくて驚きました。

そのへんで拾ったナイフで鎧を着た敵を滅多切りにするアルカード。

思わず描いてしまった、ダイヤついたナックルでぶん殴るアルカードさんの絵。
そしてHPが減ったら落ち着いて拾ったハムエッグを食す優雅なアルカード。

これは点心。好き嫌いせすなんでも食べる。元気。悪魔城ドラキュラってこんなゲームだったんだ…の連続でした。
ストーリー
以上がゲームのゲームとしての部分なんですが、ストーリーもよかったです。

「滅びよ!」
ボイス付きでうれしい最初の一言。最近ゼルダ姫が目覚めの一言(リンク…)で起こしてくれる目覚まし時計が話題でしたが、私も最強のヴァンパイアハンターが「滅びよ!」と言いながら起こしてくれる目覚まし時計が欲しいです。「私は自らの力で蘇るのではない……欲深な人間どもによって蘇るのだ……」と言いながら毎日起床をキメたいですね。
というかプロローグが「FINAL STAGE 血の輪廻(前作のラストシーン)」って良すぎませんか!? ちょっとおしゃれすぎる。私もこのくらいおしゃれになりたい。小中高の卒業式、どれかひとつでいいから卒業式って名前じゃなくてFINAL STAGEって名前のイベントであってほしかった。


冒険の舞台は城だけなんですけど、けっこういろんな人と出会えて人間(?)関係が広い。同じく探検中のマリア、お知り合いの蔵書庫の爺。あとは渡し守とか。妖精とか。小悪魔とか。
特に城に住んでる人たちは、最初に武器持っていったDEATHさんといい、けっこう仲良さそうなんですよね。お母さんが存命の時は、ムーミン一家くらい楽しい一家だったのかなあ、とか想像が膨らみます。

仲良さそう。
有名なゲームなのでストーリーは実はやんわり知っていたんですが、それにしたって城の中に闘技場があるとは思わなかったし、リヒター・ベルモンドが悪役が座るタイプの観戦席から見下ろしてくるとは思わなかった。

自我の方出させていただきます。最高~。こういうのが本当に、本当に大好きなんだ……
欲を言えば何も知らない状態で出会って「リヒター!どうしちまったんだよ!ヴァンパイア・ハンターがどうして……!」って感情を得たかった。

闘技場に内装が特殊すぎるウォーキングクローゼットがあったりして、情景からいろいろな行間に思いを馳せてしまう構造。マントが置いてあるんだからウォーキングクローゼットでしょう、たぶん。

と思えば、サキュバスに直接的に見せられる悲しい記憶も。

逆さ城の存在も知っていたんですけど、マップ100%にしたあとに「100%だと思ったか?200%を見せてやろう…」とばかりに出てくるの知らないでやったらめちゃめちゃびっくりしただろうな……と思いました。逆さの!城が!上から!!天才。
逆さ城最下層でもりもりライフアップとハートアップを拾えて強いアルカードになるとともに、敵もはちゃめちゃになるのインフレ感あってよかったです。敵の攻撃がヤバすぎて時計塔から泣いて逃げてきた。でも逃げた先で最初に奪われた装備の一つを取り返せて嬉しかった。

攻略順序が自由だとストーリーに+αがある感じしてお得。

吸血鬼がメインディッシュのゲームでさらにチュパカブラも出ることってあるんだ。

操られたリヒター、死神のDEATH、闇の神官シャフト、そして父である吸血鬼ドラキュラと、どこを見てもボスの格が高いのもいいですね。誰かが弱そうという印象がない。というわけでがんばって逆さ城を探検し、DEATH様との絆を再確認したところで最終決戦です。最後はせっかくだから取り返した母の形見の剣、アルカードソードを装備して行きました。

形見の剣で倒しているのかそのへんで拾った斧で倒しているのかいまいち判然としませんが……とにかく倒しました。父上……!

愛の人だった。愛の話でした。足掻きもなく、しっとりとした反省で終わった。
冷静に考えたら「ちゃんと話し合えば仲良くできるご家族なのでは…?」とか「程度の問題であって復讐はしてもいいのでは…?」とか思わないでもないんですけど、人間が滅びる時はその愚かさで自滅するので、闇の者が手を下すべきではない、という基本の価値観が良いので、そのへん突っ込むのも無粋な気がしました。とにかく、心から楽しめました。
構成としても、悪魔城の復活、という謎がリヒターと結びつき、”本物の母はどんな遺言を遺したのか”、という謎がドラキュラ伯爵と結びついていて、そこがちゃんと一作でまとまっているのできれいだなーって。
シリアスで耽美、しかし悪側にも一片の優しさというか、かわいげといっても差し支えないものがある魅力的な世界観の物語でした。完。
おまけ
かわいげ、すなわち妙にかわいいノリというのはゲーム全体の雰囲気の力によるものだと思います。小ネタが面白い。

親父の威光を振りかざすアドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュ。

めちゃくちゃ有名な蔵書庫の爺を何度も頭突きする裏技。できて感無量です。

クリア後にトロフィー一覧を見てだいぶ楽しくなってしまった。私がいまさら言うまでもありませんが。本当にいいゲームですよ。月下の夜想曲。