料理ではなく自炊。レシピブックではなく紀行録。さまざまな国において、自分たちが自分たちで食べていくための食事がどんな感じなのか、実際に現地に取材に行った著者によるレポート本です。
2025年8月出版なのでなかなか情報が新しいです。今の時勢を知りたいという欲求も満たされました。例えばベトナムでは「外食の衛生状況が気になる」というものが自炊をする理由になったり、フランスではロシア・ウクライナ戦争のあとに肉と魚が高騰してベジタリアン食の流行につながったり(トマトは同じ値段で1キロくらい買える)など、世界情勢に影響を受ける自炊文化から各国の状況が垣間見えました。
外食が安く、おいしい地方(台湾、タイ、スペインなど)であえて料理をする理由も興味深かったです。健康志向や創造性など、私からすると考えがしっかりしていて感心してしまうほどなのですが、これは国というより個人の資質でしょうか。とはいえばやっぱり国という枠組みでの食文化の差は大いにあります。むしろ、多国籍で栄養意識も高めの日本の自炊文化が珍しいということを、この本を読んで初めて認識しました。
ちなみに私が料理が好きかというと、やや好き寄りの普通です。それもみんながおいしいと言ってくれるとかその手のモチベーションはなく、食べたいものを遠出しなくても食べられるといった欲望ベースのモチベーションです。とはいえ、なかなか時間が取れないので本格的に取り組むのは暇ができてからになるでしょうね。将来的な趣味の一つになり得るとは思っています。
バイタリティとコミュニケーション能力が羨ましいというのはさておき、料理はやりたい人がやればいい(やりたくないなら極限まで手を抜いても問題ない)という考え方はもっと広まるといいですね。私はもともとそんな生活なので深い考えもなく同意しました。これからもケミカルな完全食を愛食しようと思いました。