三部作の二作目です。名探偵シャーロック・ホームズといえば、その聡明な推理で難事件を解決した活躍を描いたジョン・H・ワトソン博士の小説が有名ですが、そのお話がフィクションだと思っている方も多いのではないでしょうか。
そう、フィクションだったのです。今明かされる真実。シャーロック・ホームズは実際はクトゥルフの怪異や神々と戦っており、その経験をいい感じに推理小説にアレンジして出版したのが、ワトソン博士の著作だったのだ!
というていのお話。以下、ネタバレを含みます。
今回はミスカトニック大学から来た人たちの話です。ミスカトニック大学といえば、留学したいランキング上位の人気の大学ですね。
ミステリとしての大テーマ的には入れ替わりトリックです。本当ですか? これを入れ替わりトリックということにしていいんですか?
入れ替わった精神、小説の探偵ホームズとクトゥルフ世界を生きる現実のホームズ、事件パートと日記パート、全体的に二重構造のストーリーでした。
日記パートは、内向的な青年が、ハンサムで魅力的な青年への強烈な憧れ……というより『僕だけが彼に選ばれた』という自負によって破滅に向かう話です。ミスカトニック大学執着友情物語からの最悪航海が始まってしまいます。最悪航海はひどすぎて笑えるくらい最悪です。笑うな!
あんまりホームズ関係ない……と言いたいところですが、実質モリアーティパートなのでまあ、問題ないでしょう。モリアーティ、前作ではあんなにかわいかったのに……
でも、深淵なるものに取り込まれてなおがんばったのはガッツがあってえらいですね。寄生虫に例えられていたのと、犯罪界のナポレオンが全然誉め言葉じゃないのは笑いました。後世作品ならではの文脈を感じます。
例によって推理の要素はほぼありません。かっこよくてレスバトルの強いシャーロック・ホームズをご覧ください。レスバ強すぎてモリアーティくん泣かした〜って感じの内容ではあるんですが、本人も超疲れてコカインやってるから無双している感はそれほどありません。が、しかし最後に元気出てよかったです。三十代半ばの疲れているホームズが元気出るまでの物語ですね。
何はともあれカジュアルに読めるホラー冒険小説は人生に必要。素直に楽しかったです。二次創作を読みたい欲も満たされて助かりました。