秋のある日、イマーシブ・フォート東京のザ・シャーロックを観てきました。

何かというと、演劇の一種です。ベイカー街を舞台に登場人物がバラバラに行動するので、観客は自己判断でどこを見るか選択して、好きなシーンをかぶりつきで見てね、という意欲的なショー・アトラクションです。
前から見たかったのです。ちょっと機会ができて足を運ぶことができました。十九世紀のロンドンで殺人事件が見たいし、それを解き明かす探偵はもっと見たい。そんな欲求を満たすことができるかつてないチャンスです。
もちろん、私は我らがシャーロック・ホームズを追いました。
………と、言いたいところなんですけど……シャーロック……あ、あ……足が速い!!! おお! 私が追うのは我らがシャーロック・ホームズか競歩選手か。観客は走ることを禁止されているので、我々も競歩めいた足の前後運動で追いかけるしかありません。

しかもご存知の通りこのシャーロック・ホームズという男、二階に住んでいます。生まれて初めてシャーロック二階に住まないで!!!一階に住んで!!って思いました。
一応、話を追うためのガイドはいただけるんですが、早々に時系列を見失って自力で察する感じになりました。冒頭の依頼シーンこそ見逃したものの、いくつかの推理シーンと、第一幕最後の真相ご披露シーンは間近で見れたので、とても楽しかったです。
いっぱい写真を撮りました。撮影自由、素晴らしい響きです。助かる。

お話としては、まずは第一幕は連続殺人事件です。殺人事件を目撃する、シャーロックも追いかける、両方やらなきゃいけないのが観客の大変なところです。(がんばって往復しました)
私の理解した範囲にはなりますが、前半これがなかなか上質なミステリで、本当に面白かったです。座って普通に見たい。
後半……というか1/3を占めるリニューアル後の追加パートは無理やりモリアーティを出そうとした感が否めなかったかもしれません。ミステリとしては蛇足の超展開オカルトというか。マルチエンディングだったりするのかな?
面白いところは、本流から外れてサブキャラに着いて回っていたらしい方が「親切にご案内いただいてありがとう」と話しかけてもらってるの見かけたところです。参加型の醍醐味ですね。私自身も後半、本流から外れたところで登場人物に話しかけてもらえて嬉しかったです。照れてしまいました。
どう考えても治安が悪くて終わってる裏町なのに「静かでいいところですね〜」って言ってしまった。奇しくもアホの一般人を演じてしまいましたね……楽しかったです。

というわけで、体験としてはあり得ないほど楽しめたなあという感想です。広いエリアでばらばらに行われる演劇って、なかなかない公演なのですごく楽しかったですね! 足は疲れました。鍛え直したいです。
いつか本場のにも行ってみたい。ロンドンとかニューヨークとかで盛んと聞きました。

誰もいない時を狙ってセットを取りました。