『海に眠るダイヤモンド』はリアルタイムで観ることができないことが多いため、毎回TVerの配信で観ている。前回も今日の配信終了直前にようやく観終わった。実はこの回はなかなか時間が取れず、1回くらい観逃してしまってもまあどうにかなるかなどと考えていたのだが、観終えた後はちゃんと観て良かった、観なかったら絶対後悔していたと思った。恋愛ドラマであり、ヒューマンドラマであり、歴史物やミステリー、サスペンスの要素もある。1回でも見逃すのは惜しい。
ところで、このドラマにおける端島の場面は、終戦からまだ10数年しか経っていない時期であるため、登場人物たちの戦争や空襲の記憶が回想としてしばしば描かれる。中でも百合子は1945年8月9日に長崎市内に滞在していたことから原爆に被爆した。そしてこの回で同じく被爆した百合子の母が原爆症の影響と見られる白血病で亡くなった。長崎にはキリスト教信者が多いことはよく知られている。あの日、「神のご加護を」と言った人たちによって同じ神を信じる多くの人々が暮らしている土地に原爆は投下された。その光景を想像すると、どうしようもない強烈なやるせなさを感じた。百合子にとって原爆は、母の命だけではなく神への信仰までも奪ったのだ。ドラマや映画であれドキュメンタリーであれ、戦争や原爆における信仰への影響については、『海に眠るダイヤモンド』を観るまではほとんど意識したことが無かった。そのため、百合子に対しては当初は反感を抱いていたのだが、彼女の抱えるいまだに癒えることのない心の傷の深さが明らかになっていくにつれて、次第に同情と共感を覚えるようになっている。