『虎に翼』は、本筋の寅子の物語だけではなく、その背景に一瞬だけ映る人々、特に女性たちの動き一つ一つに、当時のどころか現在にまで通じる女性たちが抱えている我慢や疑問が読み取れて、毎日共感と感嘆の連続である。これが、最終週ではどのように変化しているのだろう。今週の風景の中の女性たちのことを最後まで忘れないようにしたい。
もう随分前の話になるけれど、法事の後、親戚やご近所の方が集まって食事をした時に見聞きしたことが今でも忘れられない。女性には10代の高校生であっても当然のように「女の子はこういうのも覚えておきなさい」と食事の準備や配膳の手伝いを強制させられた。若い男性の中には手伝おうとする人もいたけれど、即座に年配の女性達から「手伝わなくていい」と言われ、飲み食い談笑することを女性とは別の意味で強制される。私にとってはどちらもしんどいなあと思った。平成時代でさえそうだったのだ。
性別だけで特定の役割を押し付けられてしんどいと言えば、平成初期頃まで、年明けの仕事始めで若い女性の社員や公務員が華やかな振袖姿で仕事をする姿がニュースや新聞で毎年報道されていた。そのニュースや記事を見るたびに、就職したら自分も仕事始めには振袖勤務をしなくてはならないの?むちゃくちゃ嫌なんだけど…と憂鬱になっていた。しかし、現実に私が就職する頃は就職氷河期真っ只中で、仕事始めに振袖どころではなくなっていた。何とも皮肉な話である。