『虎に翼』で、明律大学女子部に通う寅子たちの先輩が、ついに久保田さんと中山さんの二人きりになってしまった。久保田さんはともかく、中山さんはとにかく何かにつけ泣いているので、一見すぐ逃げ出しそうな不安を覚える。しかし、中山さんは今のところ法律を学ぶことをやめる道は決して選ばない。振り返ってみれば、中山さんが泣く理由って、これ以上法律を学び続けるなら結婚できないと婚約を解消されたから、女性に弁護士資格を与える法改正がまた延期になったから、同級生はほとんど辞めてしまい、たった二人になってしまったからといった、女性が法律を学び、それを活かそうとすることに対して周りの理解が得られない時に泣いているのだ。
どのようなきっかけで、彼女が女子部に入学することになったのかは描かれないけれど、きっとそこには寅子たちと同様に相当強い動機があったのだろう。寅子も、折々に母親から今でも結婚することを勧められているが、中山さんももしかしたら同じように新たなお見合い話が持ちかけられているのかもしれない。それでも毎日学校に通い、授業を受け、単位を取り、法廷劇に久保田さんとともに熱心に取り組んでいる。本質はとても意志の強い性格の持ち主なのだろう。
泣くことで、女性の地位の低さや立場の弱さに対して怒りを表す中山さんからこれからも目が離せない。