今期の「みんなのうた」で流れている新曲『きみのたこ焼き』を聴くと、歌詞といいメロディーといい、何となく『およげ!たいやきくん』を想起させる。
たいやきくんは、鉄板の上で焼かれることに嫌気がさし、店のおじさんと喧嘩して海に飛び込むのだが、このたこ焼きくんは、パックの中に一つだけ食べ残されて捨てられたところを、神様の力により八本の足を得て海へ戻ることから始まる。と、ここまでは何となく似た展開なんだけど、結末は全く違う。たいやきくんは最後に食べられてしまうけれど、たこ焼きくんは結局最後まで食べてはもらえず、一人ぼっちで捨てられたままなのだ。
残さず全部おいしく食べきってもらうことが理想である食べ物の観点からすれば、たい焼きくんは自身にとっては不本意だったかもしれないけれど、ある意味たい焼き生を全うできたのに対し、たこ焼きくんはそれが叶わず、誰かの何か(エネルギー)になることはできなかった。とても悲しく切なく、私がそのたこ焼きを捨てた訳では無いのに、どこか後ろめたさのようなものをも覚える。