朝ドラ『ブギウギ』が今日最終回を迎えた。このドラマの初回は、昭和23年の「東京ブギウギ」のお披露目ステージから始まった。そして最終回も「東京ブギウギ」の歌で締めくくられるのかと思いきや、本当のラストはさよならコンサート後の朝、この世は義理と人情だらけだと言い、ご飯のお代わりを求めるスズ子の姿だった。そこにはいつものオープニング曲も「おわり」の言葉も無かった。歌手としてのステージは降りたけれど、ワテの人生のステージはこれからもまだまだ続いてくで!ということだろうか。
『ブギウギ』は、福来スズ子という一人の歌手の飛躍と栄光と幕引きというスポットライトの当たる部分と同時に、スズ子の人生に大きく関わる家族、友人、仲間、先生、後輩、そして愛する人たちとの出会いや別れ、信頼や葛藤など様々な人間関係が描かれてきた。むしろ、スポットライトが当てられてきたのはこちらだったように思う。だからこそ、スズ子の歌とそこに込められた思いに一層心打たれたのだろう。
スズ子の歌と言えば、先週の「ヘイヘイブギー」と今日の「東京ブギウギ」を聴いて、昭和20年代前半の全盛期とは歌い方が変わっていることに気付いた。本当に年齢を重ねたかのような、以前よりパンチは弱くなったものの、その分歌声に経験の積み重ねによる深みや艶が加わっていた。趣里さんの歌の表現力がこのドラマを通じて格段に上がっていて、きっとこれから活躍の場が更に広がるだろうことを予感させる。
そして何と言っても羽鳥善一である。キャスト発表で草彅剛さんが演じられると知った時から、これはもう楽しみしかない、間違いなく心ズキズキワクワクさせてくれるに違いないと思っていた。最終回の前の回で羽鳥はスズ子に「羽鳥善一という作曲家をつくってくれたのは、紛れもなく君です。深く感謝します。今まで本当にありがとう。ありがとうございました」と言った。私も、魅力的な羽鳥先生を、スズ子との師弟を超えた作曲家と歌手としての最高の関係を見せてくださった草彅さん、本当にありがとうございました、という感謝の気持ちでいっぱいである。