今日も『虎に翼』の話題から思ったことを。去年の筆記試験に手応えを感じていたのに(二次試験には進めなかった)と言う寅子に対して、桂場が「同じ成績の男と女がいれば、男を取る。それは至極まっとうなことだ」「誰をも凌駕する成績を残さなければな」と文字通り上から目線で言い放った。
女性が仕事で認められるためには、男性の何倍も努力し、圧倒的な成果を出さなければならないという考え方は、現代でさえ、女性の活躍について語られるときには必ずと言っていいほど持ち出される。氷河期世代の就職難の折にも、同じようなことを言われた経験が何度もあった。今振り返ると、なんとまあ残酷なことを言われていたのだろうと思う。しかも、自分の努力や成果が真っ当に認められるかといえば、結局、相手次第で梯子を外されたり下駄を履かせられたりと何とでもされてしまうのだ。そのことで、何度も悔しい思いや腑に落ちない思いをしてきたか。今でさえ、失敗すれば自己責任と言われ、成功すれば相手や周りによる温情や優遇だと取られがちである。
『虎に翼』のヒロインはまるで現代からタイムスリップしたかのようだという意見が以前ネットニュースに上げられていた。しかし、そうでは無く、現代でも当時からまるで変わっていない状況と光景があり、今でもそれが全く見えていない、見ようとしない、見えていても自分に都合の良いように視点をすり替える人たちが、まだまだ多くいるということなのだろう。