2024年11月26日(火) 読むほどに手強い『枕草子』

homachimaru
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今日は夕方には雨が上がると昨日の天気予報では聞いていたのに、結局日が暮れる頃になっても雨が降っていた。しかも日中の気温は上がるとも言っていたのに、こちらも昼過ぎでさえ13℃に達しなかった。

一日中雨だったのと仕事が休みだったというのもあり、家で空き時間は積読本の消化をしていた。しばらく読みかけのままになっていた『枕草子のたくらみ』(山本淳子著)の残りをほぼ読み終えた。

清少納言は『枕草子』を道長の世において潰されることなく残すために、政治的なこと、特に道長とその周辺に対する批判めいたことには一切触れず、中宮定子の素晴らしさと風流で雅な宮仕えの暮らしなど清少納言の周辺で起こる個人的な些事のみを軽妙にひたすら書き綴っていった。もちろん当時『枕草子』を読んだ人々の中にはそこに書かれなかった行間にすぐに気付いた者もいたに違いない。しかし、そういう人たちも、おそらく実情を知っていたとしてもあえてその空白部分を口にすることは無かったのだろうと思う。現代ではキラキラしたインフルエンサーとしてのイメージが強く、実際そういった面の強い清少納言だけれども、『枕草子』を宮中に広め、後々まで残すためにかなり細心の注意を払っていたことが伺われる。政治のことは書かないけれど、その方法はとても政治的であったとも言えるだろう。紫式部は自身の日記で清少納言の言動に対する批判を書いたことは有名だが、もしかすると清少納言にとっては、それすらも『枕草子』を広める為の一つの戦略として織り込み済みだったのではないかとすら想像される。どことなく、現代におけるSNS戦略に共通するものも感じられた。