若い頃は何か嫌なことを言われたりされたりすると悔しくてすぐに涙が勝手に出ていたものだが、最近はそういうことはほぼ無くなった。年をとってメンタルが強くなったのかとずっと思っていたが、実際はメンタルが乾いているだけなのではないかと最近は考えている。ただ、ドラマや映画、小説などフィクションでの悲しい場面や感動シーン、自分以外の人の辛い話や悲しい話を聞いて思わずもらい泣きすることは昔も今も変わらないので、身体的な問題で涙が流せないという訳ではない。
そんな折、詳細は省くが、久しぶりに悔しくて泣きたくなるような気持ちになることが最近あった。「泣きたくなるような」の通り、実際に涙は出ていない。一つそういったことがあると、時間が経つにつれてそういえばあれも思えば悔しかった、あれも辛かったと次々と泣きたくなるような過去の出来事が思い浮かんだ。しかし、それでも涙は出ない。こういう時に涙が出ないのは、想像以上にストレスを感じることが分かった。『ばけばけ』のトキのように、取り乱したいと思ったらすぐに号泣できるのは、若さの特権なのかもしれないと思った。
何か泣ける映画でも観て涙を流したいものだとテレビのチャンネルを変えると、Eテレで『仮名手本忠臣蔵』のちょうど討ち入りの場面をやっていた。泣くこととは違うけれど、観ている内に、泣きたい気分のストレスも泣けないことのストレスも次第に小さくなった。こういう性格だから、ストレスチェックでも自分ではストレス過多だと感じているはずなのに「あまりストレスは無いようですね」という結果が出るのだろうか。得な性分なのか損な性分なのか。