2024年7月28日(日) 光の当たる部分

homachimaru
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公開:2024/7/28

昨日私が観たパリオリンピック開会式の録画編集版は、文字通りハイライト部分だけが綺麗に切り取られて繋げられたものだったのかと、開会式の演出に対する批判や問題点をSNSで多く目にして思った。昨日の日記では見たまま単純に「楽しかった」と書いたけれど、これは一旦保留にしたいと思う。切り取られ編集された部分も含めて全て通して目にした時、改めてそれでも「楽しかった」という感想が出るかどうか。

 

明るく楽しい場面だけを集めて編集し、暗く悲しい場面、闇の部分などマイナス面をあえて見せないようにすると言えば、今日の『光る君へ』での『枕草子』のエピソードを彷彿とさせた。皇后定子とそのサロンがいかに一点の曇りも無く光り輝き楽しく華やかで素晴らしいものであったかを描いた『枕草子』を宮中に広めたいとききょう(清少納言)は藤原伊周に持ちかけた。左大臣道長の心を脅かすことについても、おそらく、当初のききょうの願いと目的は純粋に定子の名誉回復と正当な評価を宮中で得て欲しかっただけではなかったか。しかし、伊周にとって、それは道長を蹴落とし、自分が再び宮中で返り咲くための政治工作の道具に過ぎないように感じた。そして、こちらも最初は純粋に賢子を楽しませるために物語を書き始めたまひろ(紫式部)にも、『枕草子』と清少納言と同じように、彼女の書く物語が本人の思惑を超えて、道長あるいは他の人物の政治工作に利用されるのではないかという、未来に対する不穏な予感が漂うのだ。