卒論の味(2024/6/20)

homachimaru
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公開:2024/6/20

昨日、一時期じゃがりこが好きすぎて毎日のように食べていたという話を書いていて、更に古い話を思い出した。

大学生の頃、卒業論文の仕上げの時期に、いわゆるどハマリしたのがピスタチオだった。ピスタチオと言っても、お笑いコンビではなくナッツ類の方である。もともとナッツや豆類が昔から好きなのだが、初めてピスタチオを食べた時、私の好みにストライクした味と歯ごたえに感動した。確かこの翌日にはピスタチオを求めてリカーショップに走った記憶がある。リカーショップなのに酒には目もくれず、来るたびに大袋のピスタチオを買い求める私の姿は、今思うと、店員から「ピスタチオの人」と陰で言われていたのではないか。

そして、それを食べながら卒論の原稿に向かうのだが、ピスタチオは食べる前にまず殻を取り除かなくてはならない。何もしていない、あるいはテレビを見ているような時であれば、ひとつずつ殻を割り中の実を食べるという動作も苦では無いけれど、本を読んだり、キーボードを打ったりする時には、そういった作業をいちいち繰り返すのは煩わしい。なので、あらかじめ15個くらい袋から出して殻を割り、中の実だけを皿に入れておく。そして、本を読みながらひとつ口に放り込み、文字を入力してはひとつ口に放り込むのである。当時のナッツ類は、今の食塩不使用が主流なものと違い、当然のように塩味が付いていた。そのため、うっかり食べすぎると喉が乾く。塩分の摂り過ぎになってしまうと今であればつい考えるが、当時は若く、そんなことなど考える必要は無かった。

その後、卒論は期限までに書き上げ、無事に提出することができた。それと同時に、あれほど無くてはならない存在だったピスタチオに対する熱も次第に治まっていった。

今でもピスタチオは好きでたまに食べる。もちろん食塩不使用のものである。けれど、卒業論文の思い出とともに浮かぶのは、塩味の効いた大袋のピスタチオの味だ。