広島県立美術館で現在開催されている特別展「ブルターニュの光と風」展を観に行った。平日の午前中、開館して間もない時間に行ったからか、展示室には受付と監視の方以外誰もおらず、まるで貸し切りのような空間で鑑賞した。何だかとても贅沢な時間だった。
一人で広い空間を独占して絵画を観ることは、周りの鑑賞者の方を気にしなくていいので気楽な一方、一つ一つの作品に一人で正面から向き合うことでもあり、想像以上に気力体力が必要だ。展示室間にある通路脇には休憩室があって、いつもであればわりとスルーすることが多いけれど、今回ばかりは休憩室ごとに一息ついていた。なお休憩室にはトイレはあるが、飲食はできないので、文字通りホッと一息つくだけである。
風景画はブルターニュの海と海岸を描いた作品が多いように感じた。海は暗く波は荒々しい。一方、街や農村、人物が描かれた作品は暖かみのある光にあふれ生き生きとした、当時のブルターニュの人々の生活やその賑わう声まで聞こえてくるようだった。
所蔵作品展の「光と風の世界」も良かった。こちらは地元柄、穏やかな瀬戸内海の光景が描かれた作品がいくつかあったのが印象的だった。