この4月から、人手不足によるしわ寄せにより、業務量が体感として2割くらい増している。人手が足りないのに業務量はこれまでと変わらないのだから、そうなるのも当然だ。休暇を取れとは言われるが、休暇を取ったら取ったで、次に出勤した時のしわ寄せがますますひどくなることが容易に想像できる。さすがに退職の二文字が薄っすらと頭をよぎる。入ったばかりですぐ辞める新入社員が今年も話題になっているが、即見切りをつけることができる彼らのことがちょっと羨ましく思えてしまう。
そんな鬱々とした気持ちを抱えながら帰宅した。自宅の鍵を出そうと、鞄の中の鍵を普段入れておく定位置ポケットに手を突っ込んだが、そこにあるはずの鍵が無い。ただでさえ落ち込んでいるところにこれである。ひどく焦ってしまったが、こういうときこそ冷静になるべきである。深呼吸を2回して、定位置のポケットとは別のポケットを全部、バッグインバッグのポケットも全部探してみたが出てこない。これは鞄の中身を全部出してみるしか無いのか、家の前で何やってるんだ私と情けなく思いながら、鞄の底をごそごそと探ったところ、手応えがあり、ガチャガチャという聞き慣れた音がした。それをつまんで引っ張り出したところ、間違いなく家の鍵だった。家の前でマーケットを開かなくて良かった。