のし袋の表書きをしなくてはならない状況になるたびに、ああ筆ペン字を習うか練習しておけば良かったといつも思う。今は便利な時代で、表書きがプリントされたのし紙付きののし袋も売られているし、のし用のゴム印もある。パソコンで自作してプリントアウトすることだって簡単にできる。余裕があればそういうものを活用することもあるけれども、意外と手間なのと、特に不祝儀の場合はバタバタと急ごしらえなことが多いので、毎回情けない思いをしながら、何故か家に何本もある筆ペンを片っ端から手に取っては付け焼き刃で練習してどうにかこうにかのし袋の表書きを手書きしている。
とは言え、そういうことを何回か繰り返すうちに、やはり多少は筆ペンに慣れて来たのだろう。最近ものし袋を書く機会があったのだが、以前に比べるとお手本通りにはまだまだ程遠いけれど、かなりバランス良く書けるようになった気がする。特に、筆ペン初心者にありがちな、力の入れ加減が分からないことによる不安定な線が減ったように思う。ただ、自分で見て以前より良くなったと思っているだけなので、書道のプロから見たらまだまだガタガタのフラフラな字なのかもしれない。
筆ペンと言えば、5年前の天皇陛下の即位にあたり、地元の県庁にも記帳所が設けられていて、私もせっかくの貴重な機会だと記帳した時のことを思い出す。慣れない筆ペンに色々な意味で緊張しながら記帳した。今であれば、もう少し余裕を持って書けたかもしれないのにと思う。
筆ペンになかなか慣れなくても、それでも自分で書こうと機会があるたびに毎回挑戦してしまうのは、結局文字を書くことが好きだからなのだろう。