2024年9月28日(土) 虎に翼

homachimaru
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公開:2024/9/28

今週、朝ドラ『虎に翼』が完結した。見逃していた回があったので、今朝BSで一週間分をまとめて観た。最終回、突然解雇を言い渡されたらしい美雪におずおずと近付いた優未が、うろ覚えの法律のアドバイスだけでは終わらせず具体的な行動に移せるよう知り合いの弁護士事務所を紹介したところにホッとした。「笹竹」で団子をゆっくりと食べる桂場の、心底満足そうに微笑む横顔が良かった。

今だから打ち明けると、実は新潟編の途中から再び東京編になった頃、ドラマに自分の好みと合わない部分を感じてしんどくなったことがあった。いったん距離を置いてドラマにのめり込み過ぎずさらっと観ようと心掛けていた時期もあった。しかし、それでも欠かさず観ているうちに、少しずつ再びドラマに歩み寄ることができたように思う。

復活できた理由の一つは、おそらくよねと轟の存在だった。もちろん原爆裁判と尊属殺人の違憲判決に関わる弁護士として最高最強のバディである彼らの活躍に心がわくわくしたのもある。しかし、それ以上に、轟は花岡への感情から自覚した自分自身をありのまま受け入れられたこと、よねは法律を学ぶきっかけとなった怒りの感情とそこからの自分自身をぶれること無く貫き通したこと、そして何よりお互いが対等な人間同士としてそれらをごく普通の事として認め合っていることに、何故だかとても晴れやかな気持ちになったのが大きい。

寅子たちの物語は完結したけれど、この後も世の中にいまだに残る、あるいは新たに生まれる不合理や差別、固定観念、透明化に対して「はて?」と疑問を感じ、問いかけ、声を上げ、戦う「今」を生きる人たちの現実世界はずっと続いている。寅子のように「地獄の道は最高です!」と笑顔で言えなくても、誰もが自分が自分のままで幸せに生きる権利がある。そんな応援歌のような朝ドラとして『虎に翼』は、これからも寄り添い続けて行くだろう。