ふと、大昔の黒歴史を唐突に思い出してしまい、うわああああとなった。十数年どころか数十年レベルで昔の話なのに、何故黒歴史というやつは、不意に思い出すとまるで昨日の出来事のようにリアルタイムで恥ずかしい気持ちになるのだろう。最近も、思い出すとちょっと恥ずかしくなるような誤解からのやらかしをしてしまったけれど、そんな近い過去よりも大昔の黒歴史の方が鮮やかに思い出される気がする。そういえば、音楽も最近の歌よりも昔聴いた曲の方がよく覚えていて、当時それほど好きではなかった曲でさえ久しぶりに聴くとほぼ完璧に歌えることも多い。それと同じか。
ようやく新紙幣を全種類実際に目にし、手に取ることができた。大きさと色味は以前の紙幣とほとんど同じなので、額面を間違えることはほぼ無い。額面が漢数字よりアラビア数字の方が大きく読みやすく目立つので、従前の日本の紙幣には無い雰囲気がある。個人的には、良く言えばユニバーサルな、悪く言えば陳腐さを感じた。隅々までじっくり見ていると、様々な技巧を凝らしていることがよく分かる一方で、いささか盛り過ぎかなとも思った。肖像を始めとした絵画部分も全体的に大きいというか前面に押し出しているようで、ある種の圧力を感じさせる。偽札を絶対に造らせないという点においては、間違いなく現時点で最高の紙幣だと思う。
ここだけの話、新紙幣の千円札の肖像である北里柴三郎の名前を、いつか柴田錬三郎と言い間違えしそうである。