界隈は、俳句のデータベースの話題で持ち切りである。結局有限個である音を17個並べたものであるので、俳句も有限個であるということで、すべての音の並べ方をデータベース化したものができてしまったのだと。一度は考えることだけれど、実際にできてしまうとなかなかに衝撃が大きいというか、これができてしまったうえであなたは何を作るかという大きな問題を突きつけられているような、これはたぶん、作る人にしかわからない感覚なんだろうけど、そういう風に思った。
髙良真実「現代短歌のキリストと、今日の短歌の霊性のこと」を読む。めちゃめちゃ面白い。穂村弘が現代短歌の特異点となっているという指摘は、かなり的を射ていると思う。ただ、以降の現代短歌は俵万智の影響もかなり大きいとも思う。角川短歌賞で俵が大賞を、穂村が次席を獲った1986年がターニングポイントなのではないかなあ。それにしても、髙良真実が今年の砂子屋書房の月のコラムを担当するとなると、いよいよだなあという感じがする。たしかわたしとちょっとしか歳も変わらないはずだし。髙良真実が月のコラムを書き、乾遥香が次世代歌人アンソロジーを編むとなると、我々が、というのもかなりおこがましいが、もう歌壇の中心は移りかわり始めている、あまりぼやぼやもしてられないなあというそんな気持ちにもなる。
音速はたいへんでしょう 音速でわざわざありがとう、断末魔/笹井宏之