サチさんも自分も呼吸器が弱い。もちろん、タバコも吸わない。そんな自分たちにとって、長年の懸案事項がある。それが、よその家からの副流煙。副流煙というのは面倒なもので、窓を閉め切っていても、なぜか臭いが入り込んでくる。
非喫煙者にとって、タバコの煙というのは公害と同じである。ほんとうにつらい。気のせいとかではなく、ほんとうに具合が悪くなる。
とはいえ、防御策を立てるのも難しい。いつなんどき、煙が漂って来るのか、見極めるのは困難だからだ。相手は煙。眼に見えない。臭いを感じたときは、もう遅い。
とりわけコロナ禍以降、頻度が多くなってきたように思う。なにか対策を打たねばというところまで、いよいよ追い詰められてきた。
「どうしたもんかね」
「たぶん、換気扇から逆流してるんだと思う」
「え? そうなの?」
「だからベランダの換気口をシャッター付にすればいいんじゃないかな」
そういわれて、ベランダに出てみた。換気口はしっかりと壁に埋め込まれている。こんなところにシャッターなんか、取り付けられるかなあ。というか、そもそもそんな便利なグッズがあるのかしら――などと思っていたら。
あった。
その名も「逆風防止ダンパー」。
アマゾンでめちゃくちゃ売ってた。
しかしこれ、どうやって取り付けるのか。めちゃくちゃたくさん売ってるということは需要があるということで、しかも、ダンパー単体で売ってるということは、素人でも取り付け簡単ということなのだろうか?
さっそくベランダに出て、もう一度、換気口を確認してみた。
とてもできる気がしない。