『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観る。鬼太郎の父親――つまり目玉おやじが主人公の、これまた「-1.0」的なストーリー。最近はこうした前日譚ものが流行りのよう。
というわけで、目玉おやじがなにゆえ目玉おやじとなったのか。その詳細が明らかにされる。『墓場鬼太郎』に繋がる物語だが、ストーリーはオリジナルなのか。それとも水木しげるの原作があるのだろうか。その点ははっきり知らない。
興味深いのは『ゴジラ-1.0』同様、こちらもまた「戦争」「戦後」の鬱屈がテーマとなっている点。主人公は水木という青年で、これはそのまま水木しげるだが、水木本人というわけではなく、おそらくは戦地から復員したものの、戦後の(民主主義)社会に馴染めない若者たちすべての象徴なのだと思う。
一方で、目玉おやじら幽霊族も、「近代」となって以降は、人間から迫害を受け続けている。水木は、戦争の被害者ではあるが、加害者でもある。この物語は、目玉おやじと出会った水木が、そのことに目覚める物語と見た。単なる美談に終わらせていない分、『ゴジラ-1.0』よりも深い。