『本陣殺人事件』を観る。古谷一行版だから、土曜10時から放送されていた「横溝正史シリーズ」の、おそらくは初回ではなかったか。そんな記憶がある。当時は小学生だったから、本放送を観たかどうかは、かなりあいまい模糊としている。
ただ、今回放送されたものを観ていると、どうも記憶とは異なる点が多く、サチさんと二人で「あれ?こんなだったっけ?」と首をかしげることが多かった。
もっとも違和感を感じたのは、高峰三枝子が出ていた点。高峰といえば『犬神家の一族』である。テレビ版金田一の放送開始はたしかに『犬神家』公開の後だと思うが、映画版でそうとうの大御所感を醸し出した高峰が、そんなにすぐに、間を置くことなくテレビ版に出演するものだろうか?
それともうひとつ。CMに入る前のテロップに「ザ・サスペンス」とだけ入っている点も妙だ。本来ならそこは「金田一耕助シリーズ」か「本陣殺人事件」とか入っていたのではなかろうか。
などなど腑に落ちない点も多かったのだが、ストーリーはほぼ記憶の通りだったので、我々の記憶違いだったのだろう、ということでその場は収まった。
けれども違った。
我々が見ていたものは、「横溝正史シリーズ」ではなかったのである。ウィキによれば、1983年に、内容はほぼそのままにリメイクされたのだそう。そのときに高峰三枝子が出演していたのだ。ややこしい。