先日、光源氏というキャラクターは、〈それこそ実体を持たない「怨霊」「生霊」の類のように、当時の女性たちに憑りついている、真っ黒な「影」のような存在のような気がする〉と書いた。
そうしたら、民俗学者の折口信夫は、まったく逆の解釈をしていたと教えていただいた。折口の「反省の文学源氏物語」という小文には、たしかに〈我々は此物語から、人間が大きな苦しみに耐え通してゆく姿と、人間として向上してゆく過程を学ばなければならぬ〉と書かれている。
ネットを渉猟していたら、「『源氏物語』全講会」というサイトを発見した。折口信夫の最後の弟子、岡野弘彦先生による全189回にも及ぶ講義。す、すごい。