リップクリームを使い切った。レブロンのシュガースクラブリップがお気に入りで、これまでに三本ほど連続して使っている。保湿力が高くて、塗ると甘くて美味しいところが特にお気に入りだ(荒れるので唇を舐めてはいけません)。しかし、こうしてリップクリームを使い切って気が付いたのだが、どうやらリップクリームを使い切れる人は少数派らしい。twitterでアンケートを取って確信した。使い切れる人が三割で、使い切れない人が七割。思った通り、リップクリームを予定通りに使い切れる人は少ないようだ。聞けば「複数買っているので使い切れない」という人や「そもそも使い切る前に失くしてしまう」という人が多かった。考えてみればそうだ。売り場に行けば魅力的な香りが多く売られているし、パッケージが猫になっているものもあって、買わないように我慢するのは難しい。香りと保湿力とパッケージと……って考えていくと、いくつでも欲しくなってしまう。またリップクリームは小さい上に持ち運ぶものなので、カバンの中に入れていると失くしてしまうのもよくわかる。私はいつも家の中で使うカバンの中にさらにポーチを入れているので失くさないで済んでいるが、これが上着のポケットや職場のカバン、自宅用の上着のポケットなど複数の場所に持ち歩かないといけないとなると失くしてしまうのは当然だ。ペンより小さいのだから。
今回使い始めたのはユースキンのリップスティック。さらりとした質感で使いやすいのだが、なんとも保湿力が低い。さらさらしてるということは単純に保湿力が低いということなのかもしれない。足りない保湿力を補うためこまめに塗り直していて思ったのだが、もしかしてこれだけこまめに塗り直さないといけないものだから持ち歩くことになり、持ち歩くから失くしてしまうのではないか。そうなると、リップクリームを失くさないようにするのは至難の業になってしまう。また失くすから新しく買う、そしてポケットから見つかる、複数あるので使い切れないという流れになってしまうのでないか。これではリップクリームを使い切れない。今まで私は偶然リップクリームを失くす環境にいなかったからたまたま失くさないでいられただけだった。ではリップクリームを失くす環境になってしまったとき、つまり今のことだが、私はどうしたらいいんだろう。今もさっき塗ったばかりのリップクリームが見当たらなくてカバンの中を探してしまった。これは失くすのも時間の問題だろう。
いっそ高いリップクリームに買い直し、失くす恐怖から逃れられなくしてしまうかと考えた。「でもせっかくユースキンのリップを買ったのに、それに複数買えば使い切るハードルが上がってしまう」とすぐに反論が脳内に過る。そもそもユースキンのリップクリームを使い切りたいのだから本末転倒だ。使う度にしっかりとカバンに入れなおす、これが一番だろう。今まで通りにすればきっとうまくいくだろうし。あれ、今までと何も変わっていない。それもそうか、失くしてしまうのかもしれないというのはただの不安で、まだ訪れていない未来なのだから。来てもいない未来にあれこれ頭を悩ませても意味はない、ということなのかもしれない。なんだ、と一人で画面の前で笑った。
このユースキンのリップクリームは、もう少しこまめに塗り直して早めに使い切りたいと思う。塗り直す回数が増えれば当然失くす危険が高まるが、使い切ることを考えるとリスクを気にする必要はない。よく行動する、リップクリームをこまめに塗り直す。どちらにも多かれ少なかれリスクが含まれている。だが立ち止まっているだけでは多分ダメなんだと思う。くちがパリパリになっちゃうしね。私は今回みたいな小さなことが怖くて動けなくなってしまう性質だが、それでも今年はもう少し大胆に行動していきたい。まずは今のリップクリームが使い終わったときのために新しいリップクリームを探すことから。