セーラーから出されている顔料インクの極黒を買った。濃くて乾きやすいのでとても書きやすい。書きやすいので3本の万年筆に入れて毎日使っている。でも少しだけ不安なことがある。飽きて使わなくなるかもしれないのだ。私はすごく飽き性で、ハマっている時はそのことばかり考えているが、飽きるとパタリとやめてしまう。特に筆記用具は家にたくさんあるので、飽きても次のペンがあるのだ。今の万年筆だけを使い続けると言えるだけの自信はない。これの何が問題かというと、このインク、乾きやすくて詰まりやすいのだ。うっかり数ヶ月放置してしまうと中で詰まってしまうらしい。しかも毎日使っていてもきちんと洗わないといけないのだとか。なん手間のかかるインクだろうか。ハマっている今はそこが可愛くて仕方がないが、いつ飽きてしまうかが今から不安で仕方がないのだった。
それでも万年筆はいい。手がかかる子ほど可愛いというが、本当にそうだと思う。ペン先を洗ったり、インクを詰めたりするのは普通のボールペンでは味わえない手間だ。器に水を溜め、そこにペン先をポトンと入れる瞬間には普段の生活では味わえない豊かさを感じる。インクが水に滲んでゆらゆらと揺蕩うところを見ていると、なんとも言えない満たされた気持ちになるのだ。
近いうちに間違いなく万年筆に飽きてしまうのだろう。その頃には何を使っているだろうか。サインペンだろうか、無難にボールペンだろうか。それでも今は万年筆がいい。万年筆は良いものだ。同じようにインクも他の筆記用具も紙も良い。私にとって書くことに連なるものは、この上となく良いものなのだ。