初めまして、MisskeyArt(@hoshi)の(ゆ)ほしと申します。
さて、MisskeyArtアドベントカレンダーの12/4担当の本記事では、わたしの経験から【趣味かつ独学でアニメーション制作を始めるための方法】についてお話できればと思います。動画配信サービスが台頭して長くなりますが、皆さんはアニメーションは好きですか?わたしはけっこう好きです。そんなわたしの好きなものの話をいたします!
一部で作画TVアニメ、インゲームモーション、3DCGアニメーション、モーショングラフィックス(AE)の用語を取り扱いますが、解説すると何冊も本が出版出来てしまうので、そちらについて詳しくは興味を持った方で個々に触れて頂ければと思っています。
事前アンケートではちょっとコアな話に興味がある方が多かったので、こんな世界もあるのか~と興味を満たしていただいたり、キャラクターなどのイラストで動きを作ってみようかな?と思うきっかけになればと思い、この度は筆を執りました。今回は特に、キャラクターについての話をします。
私自身、こういった読み物に文章を寄稿するのは初挑戦となりますので、拙いところも多々ありますが何卒お付き合いいただければ幸いです!
※個人利用を前提としています。転載、知識の直接的な商材利用などは絶対しないでください
(あくまでそれぞれが自分でできる範囲のアニメーションを描くこと、楽しむことに絞ったきっかけづくりに焦点を置いてまとめているので、本当は知るべき多くのことを書かずに話を進めています。本記事はSNSで交流させていただく延長線上に生まれました。アニメーションの専門的な学びという面では期待できませんし、お勧めもできません!インターネットオタクより)
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▼目次
1. そもそもアニメーションって何だ?
2.キャラクターのポーズ イラストとアニメーション
3.動きのジャンル フィジックスとボディメカニクス
4.観察、資料集めをしてみよう
5.自分に合ったFPSでアニメーションを作ろう
最後におまけ
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◆1. そもそもアニメーションって何だ?
昨今いろいろなメディア媒体の展開のおかげでGIF、Flashアニメーション、niconicoの解説系の紙芝居動画や、BPMに沿って上下左右に動かすMEMEなど様々な動画が増えて、スマホアプリだけで映像制作するのも珍しいことではなくなりました。
動きというのものは不思議なもので、場面やキャラクターにそぐう動き、そぐわない動きがあったりなかったりします。
映像、アニメーションについて改めて考えてみましょう。アニメーションは、様々な場所で絵を連続的に変化させて動きを表現する錯視の一種だと紹介されていることが多いです。ですが、そもそも動いているものを見ているということを日常生活で意識することは皆さんはありますか?生きていると案外意識しないというか、生き物が動いているのなんて当たり前だったりしますよね。(死んでいれば、当然動きませんが)
ごくごく当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれないのですが、動いている部分があるということは、動いていない部分もあるということになります。これを意識するのとしないのとでは、ものが動いている様子を観察したり、メモしたり、自分の絵を動かす時に何を動かすか考える時に全く違う意味合いになってくるのではないでしょうか。
アニメーションを作るために見る、アニメーションの面白いところの始まり、というのはそういったところに創作の種が落ちているようにわたしは感じています。
▼錯視を感じられるこんな感じの工作もあったり(ゾートロープ)
ジブリ美術館のゾートロープはとても立派でわくわくするので是非一度は見てほしい…
◆2.キャラクターのポーズ イラストとアニメーション
次にポージングについてなのですが、これについては見たほうが早いのでまず動画を紹介させてください。というのも、自分一人のために制作するのなら、言葉での説明や理解が無い段階からアニメーションのポージングは目を楽しませてくれるとわたしは思うからです。上記の動画は朝日新聞の動画ですが、2枚で十分コミカルな楽しさが伝わってくるのではないでしょうか?
キャラクターのポージングひとつをとっても、姿勢や表情が上手いことバランスよくノっていることだったり、動きの中の姿勢だったりと、印象の多くに跨って関与します。また、ポージングはポーズとも呼ばれているため、アクションの基礎だったり、イラストのキャラクターの個性だったり、視線だったり、姿勢だったり、体全体で伝えたいことだったり…を表現する時にこの言葉が出てきたりもします。しかも、アニメーションのポーズや構図とイラストレーションのポーズや構図ではそもそも違う質の情報を扱っていたりすることもあるので、同じようにキャラクターのポーズではあるのですが、一概に絵を作る技術がそのまま自然な動きや面白い動きに関与するとも限らないのです。複雑怪奇。もはや暗号。わたしが宇宙人で地球の文書を翻訳する立場なら、絶対に諦めてしまいます。なので、もし他の媒体でポージングについて調べたり、こういった事を言葉で話さなくてはいけないときは、そもそもアニメーションの話なのかイラストレーションの話なのか文脈を意識してみると伝わりやすいのかもしれないですね(例えば、コミックスのアニメ化をする時に、そのままコマの画や絵面を使えばいいということもないのです)。
案ずるより産むが易しとも言いますから、案外見たままでもいいのかもしれません。近しい芸術表現の話をするときに、パントマイムやサイレントの映画なども挙げられがちな気がします。こちらも機会や関心に合わせて是非楽しんでみてください!
◆3.動きのジャンル分け フィジックスとボディメカニクス
動きのジャンルについてもざっくり触れてみます。動きのイメージを共有したりするために、様々な業界で言葉でいろんな角度から抽象化して伝えようとされていると思います。
なので、今回は3DCGアニメーションの分野から、フィジックス(物理演算)とボディメカニクス(身体の動き)というジャンルを取り上げて話してみようと思います。(独学の中でも3DCGアニメーションは専門ではないため、誤りがある場合はご連絡頂ければ大変嬉しいです。)
フィジックスは空間の中で物体の運動や重力など、現実の物理法則に基づいた動き(主に慣性の法則)を表現していて、現実の動きに沿ったルールを踏まえていくことで、まるでそこにあるかのような没入感や、自然さを伝えることができると言われています。一方、ボディメカニクスは人間の身体の動きを再現するための技術や人体を構成する諸々への理解に関与する時に出てきますが、一般的にはアニメの用語として一番の検索候補には上がっては来ないようです。直訳だと体の構造になりますが、つまり、キャラクターの大変多くが人間のかたちをしているので、ボディメカニクスも理解することでまた、そういったキャラクターたちに自然な存在感を伝えます。
ですがほんとうは、すべて錯覚でリアルなだけの幻覚で、オタクの妄想と同じようにそこになにも有りなどしないのかもしれません。でも不思議なことに、自然な存在感があるキャラクターにわたしたちはつい心を揺さぶられたり、寄り添ってしまいがちです。自然だけど存在していない、存在していないからこそ自然さに気を払っているのだ、と、こうして改めて文章にするとやや詭弁ではあるのですが、実際自然で心地よい動きというものがどういうものなのか日夜大変多くの人が頭を悩ませているはずなので、このへんは少し勘弁してください。
アニメーションという偉大な表現について、より多くの悩みと挑戦をしてきた先人の知恵をいくつか引用して紹介いたしますね。なんとなく感じていただけたら幸いです。
▼空間の中での動きの挙動について
▼人間のかたちを踏まえた動きについて(ボディメカニクス系)
◆4.観察、資料集めをしてみよう
アニメーションを作る上で、観察や資料集めはイラストを描くことと同じようにとても役に立ちます。また、他のアニメーション作品や写真、映像なども参考にすることで、自分のアニメーション制作の幅が広がります。
PCからYoutubeの再生時に、ゆっくり再生するだけでなく、映像を1枚ずつパラパラ漫画のように見ることができるのは皆さんはご存知でしょうか?今回は代表としてYoutubeを取り上げますが、他にも様々なアプローチがあり、細かな表情を観察することができます。下記のショートカットで細かく動きを見ていくことが出来るので、どういう絵を並べればどういう動きに見えるのか、時にはじっくりと楽しんでみてください。
▼Youtubeの使い方
他にも企業のアワードの基調講演や合同の技術交流会など、ネット上を調べてみるだけでもたくさん資料が存在します。本当に奥が深いです。
こういったツールで自分の見ているものがどんな表情をしていたのか知るたび、アニメーションは大変作りやすくなり、また世界の動きの豊かさにも驚かされます。ベタですがミルククラウンの形とかわたしは好きです。
こういったツールも、是非是非どうぞお試しください。
◆5.自分に合ったFPSでアニメーションを作ろう
最後に、急に真面目な話になってしまうのですが、アニメーションの多くは映像媒体で発表されるので、FPS(フレームレート)について簡単に触れさせてください。映像のFPSは1秒間に表示される静止画の数のことで、アニメーションや映像の印象を大きく左右します。最近はどうにか簡単に枚数を増やしたり減らしたり出来ないか日夜各所で研究が進んでいます。枚数が少ないと動きのデフォルメの度合いが上がり、多いとリアルだというふうに紹介されることは多いのですが、そもそも人間の目と脳は自分の見ていない部分も想像して補完してしまっているので、枚数が増えるほど良い表現になってくれるとも限らないようなところもあり、映像やアニメーションの一番おもしろいところじゃないかとわたしは思います。
今の時代はメディアの種類が多くなっているため、FPSは昔ほど決まった共通規格を持っていません。せっかく自由に設定できるのですから、自分に合ったFPSは何なのか、制作に使える時間や自然さ、狙った気持ちよさは何なのか遊んでみてください。
◆おまけ
映像を作るためにスマホのアプリ単体だけでの制作も多くなってきましたが、多くはコンピューターグラフィックスの延長にある場合がまだまだ多いのではないかなと思います。途中After Effectsを取り上げたり、3DCGを取り上げたりこそしましたが、結局何を使ってアニメーションを作っていけば楽なのかについては取り扱いませんでした。
それについてはいくつか理由があるのですが、例えば、PSDイラストを描くことができる方なら、レイヤースタイルを加算・乗算・通常に整理すれば見た目を維持したままLive2Dに持ち込んでアニメーションの動きを制作することはできます。ですが、映像専門のソフトウェアではないので、アニメーションについてそもそもわかっている人ではないとパラメータ作成で躓くこともあるように感じます(勿論、ひとつひとつ設定することでかえって覚えられる、という場合もあるかもしれません)。
しかし、イラスト制作に加えて映像制作の方にある程度の知識があるのなら、そもそもLive2DはAfter Effectsに読み込ませるためのデータセット(SDKと呼ばれます)を書き出す機能があるため、レイヤー効果の微調整や、調整効果レイヤーや最終的な歪みや色調補正などの決定プロセスはAfter Effects上で行っても良いのかもしれません。そうなると次はまたAfterEffectsについて学ぶ必要が出てくるのですが、OLMというアニメ会社のプラグインが便利で…と、このようにまるで終わりがないのです。こうしてわたしの知る限りの範囲だけのことを挙げ連ねて書いているだけでも、本当にいろんなやり方があるのだと改めて感じさせられます。
また、そもそも作りたいアニメーションや映像にMEMEのように多くの動きが必要ないケースでも、適切で楽な手法についてはケース・バイ・ケースになってきてしまうように思います。例えばMEMEのような変形の少ないものや、歌詞が入る動画を作りたい場合では、AfterEffectsや、レイヤーにテキストを貼り付けた透過画像ファイルを用意しない場合でも、AviUtlというフリーソフトウェアにLive2Dデータ郡を読み込ませて映像を作ることができます。あるいは、画像を準備してcapcutなどのスマホのソフトとtiktokの連携を利用したほうが投稿しやすく、もしかしたらお望みの制作は簡単に始められるのかもしれません。(AviUtlもまた別途学習が必要となりますが、軽くて無料の良いフリーソフトなので今後の開発も継続されると良いですね)
わたしにはそもそも複数のソフトを連携させて映像を作る機会があり、様々なソフトや表現方法を跨いで考える癖がありますが、正直このやり方は学習コスト面で効率的ではないので、正解だとも思えません。情報自体が日々大変な速度で変化しているので古いノウハウになってしまうことも多いです。
なので、わたし個人の考えとはなってしまいますが、何を使ってアニメーションの制作を始めるか、については手近なものや、慣れたものや、憧れる人の使っているものに倣うようなはじめ方でいいのではないかな?と思いました。
あまり堅苦しくなく、また、楽や難しさで考えるのではなく、面白いと思える距離感から始めて見るというのも良いんじゃないでしょうか。以上をもちまして、趣味でアニメーション制作をしてみる、というテーマでの執筆とさせていただければと思います。
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いくつか、最後に具体的な方法として関連URLをいくつか添付いたします。
あなたの身近なアニメーション制作の方法からぜひ、あなたもアニメーションを楽しんで頂ければ幸いです。
▼Live2Dで作るアニメーション(ダイジェスト・無料版)
▼AviUtlとLive2Dの連携について
Live2D Drawer for Aviutl
☆AEについてとか
After Effectsで完成させるアニメーションの画面づくりについて、より詳細を知りたい方は、「アニメ」の「撮影」部門について調べてみると面白いかもしれません。
ちなみにわたしは今年はLive2Dのオタクだったのですが、Live2D社によるAlive2023によると、Live2DもIKの実装研究がされているようで、今後は手足の動きやダイナミックな動きも作りやすくなりそうな気がします。楽しみです!
▼17:54~ 実装研究中の機能
今後もなんの市場や目的の意図で何のソフトウェアを使うかで最適解は変わると思います。今回はわたしの2023年の振り返りとしていろいろまとめてみたのですがいかがだったでしょうか?いろんな側面を持っているアニメーションのことを少しでも好きになっていただけたなら、わたしはとても嬉しく思います。
◆最後に改めて
本記事では、独学でアニメーション制作を始めるためのきっかけについてお話させていただきましたが、記事だけの内容では実践には必ず限界がありますので、具体的な作り方や応用技術については専門の勉強が必要になってしまいます。趣味でのアニメーション制作に限った話とはなってしまいましたが、どうか良いアニメーションライフと巡り合うことをわたしは祈っています🌟
当初、連載の想定はなかったのですが、せっかくですのでもう少しだけlive2Dのプロ向けアニメーション講座を香港の講師さんからお伺いした話から後日、ほんのすこしだけ備忘録的に簡単にまとめたいと思います。
この度は12/4のアドベントカレンダーをご拝読頂きありがとうございました!
一言でも感想レターいただけたらとっても嬉しいです。
後半はこちら(12/20ごろ更新)