※節分の日に描いたイラストです
鬼はないていました
「わたしはなにもしていないのに」
ご先祖さまのほんのほんの一部がわるいことをしたせいで豆をなげつけられて
さむいさむい冬に心をあたためてくれる存在はありません
膝をぎゅっとだきしめて
涙をきゅっとこらえます
ないちゃいけないってきまっているからです
鬼のからだがすっかり冷えてしまったころ
女の子がちかづいてきました
手に豆のはいった枡をもって
鬼はまたなげつけられるとおもって
にげようとしました
それよりはやく女の子がいいます
「鬼さん、豆でもいかが?」
鬼はがまんしていた涙をこぼしてしまいました
ぽろぽろなきながら豆をほおばりました
おなかだってずっとぺこぺこだったのです
「ありがとう、ありがとう」
鬼はいいます
女の子はただほほえんで
「よい夜を」
といい、また家へとかえっていきました
「よい夜を」
鬼も心からそういって山にかえりました