『七回死んだ男』(西澤保彦)

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公開:2026/2/8

⚠一応、ネタバレ注意

全体的には良くも悪くも名作、といった印象だった。有名な作品はそれだけでハードルがかなり上がってしまうので、これは致し方ないのでしょう。最近の特殊設定ミステリがおかしいだけ説は往々にしてある。読み返したら凄さに気づくタイプの小説なのかもしれない。ストーリーは思っていたのとは違ってコミカルな昼ドラみがあった。女性陣がやたらキェェェー!!となっていた。

とある1日をループする主人公。この現象は、主人公にもいつループが起きるかわからない特異な「体質」とだけ説明されている。一周目が「オリジナルの日」、間にいろいろあって、九周目が「正史」になるというループの仕方で、主人公がどうあがこうとこれだけは覆らない。SFミステリとして有名な本作だけれど、ループがSF的にしか説明できないだけで、本質はミステリ。

やり直しが利く限り取り返しがつくように努力するのがやはりひとの道というものであろう。そう考え直したのである。祖父を救うのは自分の〝責任〟なのだと。

↑体質を使って祖父を救おうとする主人公の善性に関する部分。たしかに主人公がそれなりに良いやつじゃないとそもそもこの話は成り立たないなと思った。

「赤い折り紙」を各ループの起点にしていたのは上手いなと思った。「赤」という色彩要素と物語におおよそ関係なさそうな「折り紙」は、ちょっと読者としても意識せざるを得なかった。結局これが大仕掛けの一部になっていて、現実のとある事実が主人公の認知のズレを引き起こしていた、というのはなるほどね〜となる。

ループしている本人ではなく、その当事者から話を聞いた友理さんがおもむろに全容を解明し出して、急に安楽椅子探偵ものになったのも面白かった。あんたが解決するんかい。お幸せに。

@hotwater
本と生活感のない話の続き