絶望料理

ひらやま
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冷凍庫から絶望を取り出す

触れると皮膚がひっつくほどの低温

常温に三十分ほどさらす

溶け具合を確認して 真水にさらす

水は綺麗であればあるほどよい

手で持ったとき

少し撓るくらい柔かくなったら

一口大のぶつぎりにする

フライパンに油を敷きあたためる

白い煙が出始めたら頃合い

ぶつ切りの絶望を入れ 強火で炒める

魂までくっきり焼印を押せるような火力で

四方にこんがりと焦げ目がついたら

弱火にして蓋をする

五分ほどしたらできあがり

毒が練り込まれたオーバル皿によそい

親の仇を殺す勢いで一息に食べる

いただきます

 

@hrkzkrh
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