トンネルの暗闇が
奥の方から順番に
切り裂かれていく
駅のホーム
半蔵門線の
或る駅の
電車から降りる人の波が
ホームに流れ出して
地上に溢れ出る
彼らと彼らの魂は
どこで生まれて
どこで生活して
どこで死ぬのだろう
問うことを決して許さぬ
厳しい顔つき
彼ら自身は
知っているのだろうか
自らの魂の所在を
駅のホームに
立ち尽くし
考えてみる
我が魂の所在を
一体どんな歪んだ切れ目から這い出て
一体どんな歪な穴へと向かうのだろう
傷ひとつない生まれたてなのか
幾星霜の輪廻転生の帰着なのか
それすらわからない
目指すべき目的地を忘れていないか
降りるべき駅を乗り過ごしていないか
乗るべき電車を間違えていないか
どこから来て
どこに向かうのか
私の魂よ
空気を震わせない
私の叫びが
トンネルの暗闇に溶けて
電車が発車する音に
かき消されていく