出会い
2010年4月、当時大学生だった私は相変わらず初音ミクの音楽ばっかり漁っていた時期でした。2010年というと、ハチ(米津玄師)・DECO*27・wowaka・ゆうゆP・40mPなどなど…今でも名前をよく聞く人たちが最前線で活躍されてた時代。もちろん有名な曲も聴いていたのですが、私自身の性格上「ランキング上位の曲はわざわざ聴かなくていい」という逆張り性格だったため、聴いてたのはランキング上位から少し外れたマイナー曲ばかりでした。
またこの頃は初音ミクの楽曲だけでなく「歌ってみた」や「PV作ってみた」などの動画も見るようになりました。
そんな中、2009年4月に発表されたびにゅPの「April Fool」という楽曲が好きでよく聴いていました。
「嘘に決まってるだろう 君を好きだなんて」というフレーズが好き。
すると1年後にとある人による手書きPVがニコ動にアップされました。(ニコ動のほうはもう削除されていること、YouTubeに転載動画は上がってますが無断転載なので載せません。)
その絵柄のかわいさが唯一無二であったこと、見事に曲の切なさを表現した映像。そしてそれを作ったのが当時中学生の女の子だったという衝撃を受けて、すぐにその人を検索して個人サイトにアクセスしました。
イラストがめちゃくちゃかわいくて、しばらくぼーっと見ていました。そしてこの絵柄は唯一無二であって、絶対将来化けるだろうなって。綺麗なイラストは山ほどあるけど、誰でも真似できない絵柄で勝負するのも面白そうだなって。そんなことを考えながらひっそりと応援するようになりました。
それからというもの、毎日のインターネットルーティンに「彼女の個人サイトにアクセスして、更新がないかチェックする」という項目が増えました。たまに有名なPの楽曲に彼女のイラストが載ってることもあって興奮したし、ニコ動以外での活動で一番印象に残ってるのは年賀状企画で、応募して彼女の可愛らしい年賀状イラストが自宅に届いたときはとても嬉しく、今でもクリアファイルに挟んで大事にしまっています。
突然の引退
しかし、ある日を境に自身が投稿した動画・イラストがすべて削除され、個人サイトもなくなってしまいました。(引退の理由は調べると色々な噂が出てきますが、信憑性がないのでここでは触れません。)
私も突然の引退にショックを隠しきれませんでした。ただまたVOCALOIDじゃなくてもいいから自分の好きな絵を描いて復活してほしいな、と祈ることぐらいしかできませんでした。
ふとした復活のお知らせ
それから数年後。彼女の存在も忘れかけてたある時、ふと「やっぱりApril FoolはPVが最高なんだよ~」とか友達喋りながら、とある掲示板を眺めていたときにとある投稿を見つけました。
ひなたさんって〇〇(引退した作者の名前)さんだよね?
えっ。
雷に打たれたような衝撃。すぐに調べました。するとひなたさんの個人サイトを発見。イラストを見る。
絵柄が私の記憶してる絵柄と一致してる。でも偶然にも別の人が描いているイラストの可能性もある。でも気持ちは彼女だと確信していました。
ただ引退のこともあって、前のことはあまり話すべきではない。でも前々からずっと絵が好きだったことも言いたい。でも拍手コメントやメールフォームとかで送るとショックを受けるかもしれない。どうしたらいいのか…と悩んでいたときに、ひなたさんからあるお知らせが出ました。
同人イベントに参加します。
これだ。
自分が同人イベントに参加し、ひなたさんのところに行く。そしてその時に「元〇〇さんで活動されてましたか?」と尋ねる。違ったら「絵柄が似ていただけで人違いでした、すみません。」でいいし、合ってたら「April FoolのPVがめちゃくちゃ好きでした。」と言おう。どちらにしても今のひなたさんのイラストも大好きだから。また手元にあった年賀状企画の年賀状イラスト。これが唯一残っている前のイラストだったので、これも一緒に持っていくことにしました。
いざ答え合わせの時
同人イベント。ただの一般人客の私が一番緊張していたかもしれない。
掲示板に書かれたたった1つの投稿。嘘か真か誰も知らないことをわざわざ確かめに新幹線に乗って1人東京に。またその時は就職が決まってて、就職したらしばらくは同人イベントに参加できなさそうだったので、これを逃したら次はない、という覚悟で参加していました。
たった1つのサークルを見に、ほんの小さなサークルを見に、朝から気合を入れて並んでいました。
そしてイベント開場。真っ先に私はそのサークルに行き、答え合わせをし…たかったのですが、開場早々に聞きにいくのは流石によくないと思ったので、目的もなくしばらく会場内をウロウロして30分ぐらい時間を潰してから行くことにしました。
心臓をバクバクさせながらひなたさんのサークルに行き、まずは同人誌を購入。そして当時はスケッチブックの手描きイラスト依頼もOKだったのでスケッチブックを渡しながら尋ねました。
「中村ひなたさんってもともと〇〇って名前で活動されてましたか?」
「はい、そうです!」
合ってた。ずっとわからなかった答えが合っていた。合ってた嬉しさもそうだが、こうやってまた素敵なイラストを描いてくださっている。それだけで泣きそうになってた。
「よければApril FoolのPVが好きなのでそのイラストを描いてもらってもいいですか?」
というお願いも快諾してくださり、私の手元に
「自分だけが知っている確かな答え」
が残りました。家が災害に遭ったら一番最初に持っていくものはこのスケッチブックにしようと決めているぐらい、自分の中で大事なものです。
漫画家デビュー
これからもひっそりと応援していきます―――
同人イベントに彼女にそう言い残して私は社会人になり、そこからはひなたさんのTwitterで更新がないかを眺める日々に変わりました。
それまではちょこちょこ小説の表紙イラストを描いていらっしゃったのですが、2018年に漫画家となり、月間good!アフタヌーンで「やさしいヒカリ」の連載が開始。そして3巻分の連載が終了した後は、同人時代から描いていた「ココロのプログラム」の連載がジャンプ+で開始。
どちらも人気があったか、と言われるとそこまででもなかった。終始優しい絵柄と優しい物語で漫画を読んでいる層にはイマイチ響かなかったんだろうなと思っています。それでも私はそのイラストと物語を見ているだけで幸せになれたので、関係なかったのですが。
人気になってほしいという反面、あんまり人気になりすぎて離れていってほしくないなぁ…と単行本を布教用と保存用で買ったりしながら、売上に貢献することにしました。
「やさしいヒカリ」の連載終了後に漫画の裏話配信みたいなのもやってて、それも聞いてたなぁ。
初めての展示会とサイン会
漫画連載中にひなた先生のサイン会とかあるのかなーと首を長くして待っていたのですが、連載中にサイン会が開かれることはありませんでした。
1回だけサイン本のネット抽選販売があって、私もそれに応募して見事にサイン本は当たったことはありました。サイン入りのものがもうひとつ増えました。
「ココロのプログラム」連載が終了し、単行本最終巻が発売され、今回も単行本のサイン会もなかったかぁと思ってた直後に突然の発表。
まさかの個展開催とサイン会実施。しかも2週間後。急すぎるって。いやでも休日だから当日の朝イチで新幹線乗って渋谷に行けば間に合うか。と思い、急いで土曜日の新幹線の予約。
しかしこの1週間後(12/16)に追加発表。
サイン会は12/22(金)より、イベント会場にて商品をお買い上げいただいたお客様に先着で参加券をお渡しいたします。
関東の人ならともかく地方民にはホントに厳しい条件で流石に運営ひどいなぁと思った。しかも先着150名。これでサイン会行けなかった人もいるんじゃないかな。私もかなり焦りましたがなんとか有給のカードを使い、新幹線の予定変更と宿泊予約もギリギリ取ることができました。今思い返しても社会人に優しくないお知らせだなと思いました。
8年ぶりの再会
12月22日金曜日、行きましたよ。渋谷、オープン前の渋谷モディ。
そしてオープン一番にサインしやすそうなキャンバスパネルを買って、すぐにサイン会の参加券もらいましたよ。

入場番号1番。まぁ入場番号と実際のサイン会の順番は違ったんですが。
そして23日、サイン会。ついさっきまでサイン会の行列に並んでいたのに、いつの間にかサイン付きパネルを持って会場を出ていました。

なんか本当は
漫画家になって初めての展示会・サイン会めっちゃ嬉しいです!!とか
「やさしいヒカリ」のサイン本が昔当たったんですよ!!とか
めっちゃひなた先生のファン増えましたよね!!とか
頑張って遠方から来てこのサイン会の参加券1番だったんですよ!!とか
なんか色々言いたかったことがあったのに全部飛びました。サイン会中は緊張でずっとあたふたしてました。でもずっと覚えてくださったのは嬉しい。
後々ブログに「差し入れやファンレターを書いてくださった方もいて」とあって、てっきり持ち込み禁止だと思って何も持っていかなったのが私になります。
なので次にお会いする機会があれば、ちゃんと差し入れとファンレター書いて渡そうと思います。そのために今ここに文章を書きとどめています。
これから
あの答え合わせから8年半。最初に彼女のイラストを見て「中学生でこの絵はすごい」とか言ってから14年が経ちました。月日が経つのは早いね。
そんなこんなで14年ぐらい中村ひなた先生ファンをやっています。私が「ファン」と明言してるのは初音ミクと中村ひなた先生ぐらい。
連載が終わり、先生はこれからどうするんだろう。またどこかの媒体で新しい連載を始めるのだろうか。もう少し優しい物語が多い媒体で、そういう層の人に刺さるような漫画を描けば人気になるのだろうか。なんてことも考えたり。
しかしX(Twitter)の更新も月に1回あるかないかぐらいの人だし、返信は漫画家になってからは基本しなくなった(代わりに「いいね」だけ押してくれる)し、個人的にはイラスト依頼とかやってみたら面白そうかなと思ってお金は用意してるんですが、そういうこともなかったりで、結構静かに時間が過ぎていってます。そこだけがちょっともどかしい。
ただ、この前の個展・サイン会に来ている人を見て思ったけど、みんなどこか優しく、ミーハーとかじゃなくて本当にこの絵が好きなんだよなぁといった感じの人ばかりだった。みんなの目がキラキラしてた。先生のファンはそういう人たちだし、これからもそういうファンがゆっくりと増えていくことを願っています。
さて、次はオリジナルの個展が吉祥寺で10月に開催。まだ詳細は明らかになっていませんが、何かしらのイベントがあるのではないかと期待はしています。また行くよ、東京。
なのでサイン会のときに言えなかったことは手紙にしたためて、お邪魔でないタイミングでお渡しできる機会があればと思っています。
これからも陰ながら応援を続けていければと思っております。