50年後に孫に「昔のバレンタインってどんな風だったの?」と聞かれたとき用に庶民がバレンタインデーをどのようにとらえていたか書き残します。
日本でバレンタインデーといえば2月14日にチョコレートを贈る行事を指す。キリスト教の聖人、聖バレンタインがいたなどの説明もあるが基本的にそういった由来を強く意識しているひとはあまりいない。またチョコレートを贈る以外に当日パーティや特別な催しをおこなうことも少ない。ただし、恋人同士やファミリーなどはほかのイベントと同様に非日常なディナーや行楽をおこなうこともある。
チョコレートの調達方法は、主にどこかで購入するかスーパーなどで売られている板チョコ等をもとに手作りすることで用意するかのどちらかである。社会人は概ね購入し、学生などは手作り(この場合のチョコレートについては自家製やホームメイドではなく、「手作り」と形容することがほとんどである)でもって用意する場合もままある。
21世紀初頭ごろまでは女性が意中の男性にチョコを贈るイベントであったが、近年は友人同士でチョコを贈りあう「友チョコ」や誰かにあげるのではなく自身で特別なチョコを食べるために購入するひともいる。また、教室や職場などで意中の男性のみチョコレートを渡すことで目立つことを避けたい、ほかの男性に対する配慮などの理由からいわゆる「義理チョコ」と呼ばれる習慣も存在する。おなじコミュニティ内で広く配布される「義理チョコ」に対して、意中の相手へのチョコは「本命チョコ」と呼ばれる。
2月14日当日に向けて、1月末ごろからスーパーや百貨店、街中の特設会場などでチョコレートが売られ始める。ほかにもスイーツを扱う飲食店では季節限定商品としてチョコレートをテーマにした商品が扱われることも多い。百貨店では世界各国から有名なパティシエによるチョコレートが用意され、人気の品は予約が必要であったりすぐに売り切れたりする。また、バレンタインの前日もしくはその直前の週末などは百貨店や特設会場が非常ににぎわう。あと、贈答品を想定しているので箱やパッケージングされたチョコもしくはチョコ菓子がメインで、チョコレートケーキなどの持ち運びに手間がかかる商品はそこまで多くない。高いものではチョコ一粒あたり千円を超えるようなものもあり、スーパーで売られているチョコやチョコ菓子はせいぜい数百でひとパックであることを考えると非常に高価だ。
チョコレートをもらった側は、基本的に3月14日のホワイトデーにお返しを返すことになっている。「義理チョコ」の場合、返す品としては洋菓子が多いものの、いわゆる「3倍返し」(もらったチョコの3倍程度の価値があるものを返すということ。一ヶ月で200%の利率)のルールから、多少よい品を用意することもある。ほかには贈った側のリクエストがありそれを承認する場合はそれに応えた品を用意するケースもある。