「前夜」あとがき

hvycloudnorain
·
公開:2024/7/1

ジュンブラ同性婚スタンディングで参加者の方に少しお渡ししていた無配コピー本「前夜」のあとがきをこちらでも公開します。内容にかかわらない漢字の表記などを無配に載せたものから変更している箇所があります。

1.

注意:2024年3月にネット上であったクィアな二次創作及びクィアに対する攻撃についての言及があります。

初めて二次創作の冊子を作った。小説を書き終えたのも初めて。これはジュンブラのスタンディングに合わせて、現場で物々交換できそうだったら誰かに渡したいなと思って作り始めたもの。わたしのことだから、誰にも渡せず帰宅してる可能性は高い。受け取って読んでくれたひとがいるのならありがとう。嬉しい。

ケータイのメモにこれのもとになるアイディアを書きとめてて、3月のマリフォー裁判札幌・東京判決があって、その時にぴったりだなと思ってブルスカに流した。ほくほくしてたら旧Twitterで「政治的な二次創作」として「プライドフラッグを持ったキャラのイラスト」が批判の的になり、議論とは言えない、恣意的なラベリングによる抑圧がよくわかっただけのくそみたいなことがあって、その同時期にあった春コミでよりにもよってTOMORROW EViDENCE流れてて最悪で*しなしなになってたんだけど、ジュンブラに合わせて同性婚への賛同を示すスタンディングが行われると知り(主催の方に敬意を表します)、ならこれをちゃんと形にしようと決めたのでした。間に合ってよかった。


*だってトゥモエビは、今日を惜しまずもっともっと永い時に向かっていく、ものすごい厳しさと決意を持った歌なんですよ!?それがあの状況で…

2.

ここからは別の話題です。

表紙になんかいいのないかな~とアルバム漁ってたらおあつらえ向けに夜、青と赤の色を持った写真があった。線路のそばで、ライトに照らされてるキラキラのタイルです。タイルが光るときが好き。

本文、なんで一織と陸がケンカしてるのかわたしにもわからん。一織が言ってるとおり陸は一織の言葉を拡大解釈してるんだろうし、でも一織も陸的に肝心なポイントを外したんでしょう。その余白に亀裂が生じたんだよきっと。

好きなところは環が壮五に笑いかけて、壮五も微笑み返すとこと、陸が一織に話を打ち切られて、でも一織がいいならいいよって言うところ。メッゾ大好きだし、陸のことはよくわかんないなって思ってたから、腑に落ちる彼の行動を書けてよかった。

一織が想定してる陸との結婚は恋愛結婚じゃないです。制度による保護と社会的承認によって関係の持続可能性を高めたいってかんじです。ほんとは7人、もしくは紡さんいれた8人でそういう制度利用したいんじゃないですかね。結婚からロマンティックラブイデオロギーとモノアモリーのならわしが消えてほしい。ぼくはひとりで、ひとりとしてちゃんと生活を生存を保証されたいですよ。いつかは婚姻制度も国家もおさらばだ。必ず。

「同性婚」とという言葉だと必ずこぼしてしまう存在があって、本文でもどう書くか悩んだ。本質的性別二元制にもNOと申し上げます。

3.

1で書いたことで、その時あった話のひとつに、現実とフィクションは別で関係ないっていうのがあるけど(私はそんなわけないだろって思うんだけど)、少なくともアイドリッシュセブンはそれに当たらないと言いたい。

企業とのコラボのときはいつもアイドル個人名義のコメントが出るし、ムビナナもG4Yも、それぞれ形は違うけどアイドルと観る我々が同じ空間にいるものとして作られてたと思う。アイドリッシュセブンは、現実に現実のものとして介入するやり方を取っている。そういうコンテンツで、リバーレまわりだと親しい関係の男性同士で一方が入院したとき病室に入れてもらえないだとか、その経験をふまえて千が百の姉or妹と結婚すると言い出すし、アニメ二期では、仕事として「夫婦漫才」と自分たちを提示しながら、舞台裏での真剣な発話で千は百に対して「パートナー」という言葉を選んでいるといった感じでやたらと生々しいかたちで描かれてるように見える。この点だけ取っても、アイナナという作品は我々と無関係でないのは明らかだ。

私は、和泉家のケーキ屋は世界情勢に経営を影響されてるだろうし一織はそれがきっかけでいろんなことに関心を持つようになったのかもとか想像するし、陸と天が別れるしかなかったこと、その反面別離がもたらした様々な格差があるだろうとか、鷹臣の「家族」の悪用とかもだし、メッゾはコインの裏表の関係で、形は違えど二人とも家父長制と資本主義に苦しめられてて、共にそれに立ち向かったことに胸を打たれて、ナギの王族的振る舞いがかっこいいものとして描かれることに歯ぎしりしたり、いろんなキャラからナチュラルに出てくるセクハラ言動においやめろってキレたりする。

虐殺と侵攻とそれに抗するひとびとを目にして、私ひとりの力を、どうしたら最大化できるのか考えながらEverything is up to usを聴いた。TOMORROW EViDENCEのひたむきな厳しさにいつも叱咤されるし、Pieces of the worldを聴くと、「あらゆる屈託を壊して創造をしたい 明日と君を連れながら」を空虚な言葉にしたくなくて拳を握る。

あの人たちは現実にいる。私たちと在り方が違いながら、でも確かに。私はそれを確信することで、いつどこでも、かれらとの接続点を見つける。

読みにくくてごめんなさい。今日はお疲れさまでした。

2024.6.30