本日(2024/06/22)赤ブーブー通信社に対して「初心者FAQ質問フォーム」からJUNE BRIDE FES2024(以下ジュンブラ)について問い合わせを送りました。オンライン上では他に問い合わせ先が見当たらなかったためこのフォームを利用しています。
問い合わせ本文にもあるとおり私は昨年のジュンブラに参加しました。サークル参加する友人の手伝いでです。参加しないかと誘われた時点でBLカプのオンリーが多数開かれるイベントのタイトルが「JUNE BRIDE FES」であることにひっかかりをおぼえたのですか、「またいつもの、結婚という単語を制度の方ではなく愛の最上級の形、一番ロマンティックなものという概念として使ってるやつか。やれやれ。」と流して当日を迎えました。でも、イベント会場での同性同士のカップリングも不平等な社会状況も無視するような開場アナウンスを聞いたことや、イベント後にXで赤ブーブー通信社の不誠実な対応を見たことで自分が事前にこのイベントコンセプトが内包する問題を気づいていながら放置し、差別に加担したことを後悔しました。なので今年はイベント前に(直前にはなってしまいまいしたが)赤ブーブー通信社に対してジュンブラ開催に当たり求めることを伝え、同時にこのイベントの在り方に抗議する者がここにももう一人いると示すために問い合わせ内容を公開します。
以下が問い合わせフォームに送った文章です。
問い合わせ本文
6月30日に開催されるJUNE BRIDE FES 2024について赤ブーブー通信社様にご検討いただきたいことがあり、他にweb上の問い合わせ先が見つからなかったためこちらのフォームを利用させていただきます。本来の用途ではないこと、また本文が長くなることをまずお詫び申し上げます。お手間を取らせますが最後までお読みいただけますと幸いです。
私は昨年6月25に開催されたJUNE BRIDE FES 2023に参加した者です。その上で、今年のJUNE BRIDE FESについて以下の2点の改善・検討を赤ブーブー通信社様にお願いします。
①イベントスタート時の場内アナウンスの内容・文言の見直し
②現実の日本社会における同性婚法制化への賛意の表明
①イベントスタート時の場内アナウンスの内容・文言の見直しについて
昨年、イベントが午前10時にスタートする直前、場内にアナウンスがありました。その内容は「ジューンブライド」というコンセプトに即し、カップルの結婚を祝うものでした。
アナウンスの中でカップルは「新郎新婦」と呼び表されていましたが、イベント内で行われたカップリングオンリーのうちこの言葉で指し示される男女の組み合わせのものはごくわずかであり、そのほとんどは男性キャラ同士のカップリングでした。つまり、会場内でオンリーが開かれているカップリングの多くが、「新郎新婦」という言葉の使用によって、結婚を祝福する内容のアナウンスの対象から除外されていたのです。男性キャラ同士のカップリング、男女の組み合わせのカップリングどちらものオンリーが開催されており、比率としては前者が圧倒的に多いイベントにおいて男女のペアだけを指し示す言葉だけを使用するのは、現行の日本の法律において戸籍上男女の二人組だけに婚姻関係を結ぶ権利が与えられており、それ以外はそこから除外されている状況、また、このような社会のあり方の根幹をなす一要素である異性愛中心主義に対する無批判な姿勢がにじみ出ていると思います。例えば「新郎新郎、新郎新婦の皆様」と言葉を並列したり、「結婚するお二人」というように性別を特定しない表現を用いるなど、そのアナウンスで祝福されるべき全てのカップリングを包摂できる表現を採択することが十分に可能だったと考えます。この点に関して、JUNE BRIDE FES 2024では改善されることを望みます。
また、「ご成婚おめでとうございます」とカップリングされたキャラたちの結婚を祝福していましたが、そもそもこの内容自体が妥当なものであるのか疑問を抱かざるを得ません。前述した通り同性婚ができない環境において、男性同士のカップリングを含めた二人組に対して「ご成婚おめでとうございます」とアナウンスされることは、同時に参加者が生活している社会においてはそれが不可能であるという現実を即座に想起させると思われます。実際に私はそうでした。会場内にはこの婚姻に関する不平等に直面している参加者もいるでしょう。このアナウンスはサークル、一般、スタッフといった立場にかかわらずこのイベント会場にいる人々、特に社会的に弱い立場に置かれているマイノリティに苦痛を与え得るものであり、参加者に対する安全性を損なっていると考えます。同性婚ができない社会で結婚をコンセプトに据える以上、単に結婚を祝福するだけでは矛盾を生じさせるだけです。社会の現状に抗議し、差別に直面するマイノリティへの連帯を示した上でキャラクターの結婚を祝福するという内容にできないでしょうか?こちらも改善を要求します。
②現実の日本社会における同性婚法制化への賛意の表明について
前項でも申し上げた通り、現在日本社会において同性婚は法制化されておらず、戸籍上同性同士の二人組は婚姻関係を結ぶことはできません。このような社会状況下において、多数の同性同士のカップルを含むオンリーイベントの即売会のタイトルをJUNE BRIDE FESとし、開始時のアナウンス内容をイベントを結婚式に見立てたものにするなどコンセプトに結婚を据えることは、主催者の態度次第で婚姻の不平等がある現実をフィクション作品とは関わりないものとして無視することにもなれば、むしろこのような不平等で差別的な現状に対し抗議の意を示し、結婚の自由が誰にも開かれた未来への想像と希求として「結婚おめでとう」と言うことのできる場にイベントを意味付けることができる可能性も持っているのです。
昨年のイベント開催前/後いずれの時点でも、貴社は同性婚をめぐる状況に対する見解やステートメントを一切出されていません。これは側から見ると、貴社はイベント開催に際し、それが掲げるコンセプトが持つ政治的な意味、影響力について企業としての社会的な責任を果たすつもりがないように見受けられ、前述した二つの態度のうち前者の方に当てはまるように感じられます。イベントの開催も、そこでやり取りされる同人誌やグッズ、そしてそのインスピレーションの源である数々の作品の製作も、現実の社会の中で生活する人々によって行われるものです。ゆえに作品と現実の社会は無関係ではありません。互いに影響し合います。同人誌やグッズが作られ、それらを頒布したり受け取るためにイベントに人が集まることはまさしくそれを証明していると思います。この影響力を、差別解消のため現実社会へとそのベクトルを向けるべく貴社にはイベント開催にあたってのステートメントの発表してほしいのです。
また、イベント開催に当たってステートメントを発表することは貴社の企業としての責任遂行として必要であるだけでなく参加者にとっても重要です。参加者のうち婚姻の不平等によって差別されている当事者や、この状況が発する価値観、すなわち同性愛嫌悪やクィアな在り方を認めないというメッセージによって日々疎外される人々にとっては趣味を楽しむためのイベントをより楽しんで自分を解放できる場所にし、この問題を身近なものと感じず、とくに脅かされることもないのだという人にとっては他者に不当に課せられる差別の問題を知る機会にするでしょう。
JUNE BRIDE FES 2024開催に当たり同性婚法制化に賛同を示すステートメントを発表すること、そして来年以降も同性婚ができない社会状況下でJUNE BRIDE FESが開催されるのならば毎回開催前に声明が出されることを要求します。社会状況と貴社のイベント主催者としての責任を持って、同性婚法制化を支持し、差別に抗議する姿勢を明らかにしてほしいと望みます。
以上の2点がジューンブライドフェスについて貴社にお願いしたい内容です。貴社の同人文化における多大なるご貢献は、この文化に末端ながら参加する一人としてよく認識しております。だからこそ、貴社には同人文化のあり方、ひいてはその土台である社会のあり方をより良い方向に導いていくような仕事を期待しております。ご負担になることは重々承知ですが、ご検討のほど宜しくお願いいたします。