ターゲティング広告でターゲティングされているほうが幸せかもしれない

hyroki1980
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ターゲティング広告の技術が世に降臨した後に、(恐らく)多くの広告主がWebサイトの訪問者を永遠と追従するようなリターゲティング広告を乱発し、フィーバーを起こしたことを発端に、どのWebサイトでも同じ広告を見る、つきまとわれているようで気持ち悪い、プライバシーの侵害であるという潮流になった。(おまいうなのは分かっている)

ターゲティング広告を実現するために使われていた3rd-Party Cookieはサイト超えトラッキングを実現することから、これらを利用できないようにすることでプライバシーの保護を進めるという流れに。

結果、ITPの登場や主要ブラウザが3rd-Party Cookieのサポートを終了し、3rd-Party Cookieを活用したサイト超えトラッキングができなくなる(=ターゲティング広告が配信できない)というところまで来た。

ターゲティング広告が表示されにくくなる。たぶんそれ自体はみんなが望んだことなのでいったん置いておく。

話題を変えて、ターゲティング広告が配信されなくなるとどうなるか?を考えてみる。事実、Webサイトに表示される広告は人をターゲティングした広告だけが配信されるわけではない。

Google 広告を例に挙げれば、Webサイトのコンテンツに連動するコンテキストターゲティング、特定のWebサイトのURLを指定するプレースメントターゲティング、特定のテーマを指定してそのテーマに沿ったWebサイトに広告を表示させるトピックターゲティングの3つがある。これらの広告が配信されるトリガーは主にコンテンツだ。

だから、人をターゲティングした広告が表示されなくなっていったとて、コンテンツをターゲティングした広告は表示される。だから、広告自体が表示されなくなる訳ではない。

コンテンツをターゲティングした広告の表示比率が相対的に増えてくることが予想されるが、それ自体が悪いわけではい。しかしながら、これによって質の低い広告との接触機会が増えてしまう可能性を秘めている。例えばアダルト要素が強い広告や、詐欺めいた広告、何かを冒涜したり中傷していると捉えかねないグレーな広告たちだ。

コンテンツをターゲティングしているものの、表示させる広告は必ずしもターゲティングしたコンテンツと関連している必要はない。

私は当然関わったことがないので、あくまでも推測の域を出ないのだけれども、これらグレーな広告たちは高いクリック単価で特定のユーザーに訴求すると言うよりは、非常に低いクリック単価かつできるだけターゲティングの要素を減らすことで多くのインプレッション機会を得てクリックを獲得する傾向にあるように思う。結果的に誰かがコンバージョンすれば良いのでコンバージョン率がものすごく低くてもクリック単価もものすごく安く済んでしまうので、コンバージョンさえすれば元が取れてしまうのであろう。

なぜそのような事が想定されるのか。

  1. 人をターゲティングする広告の場合は、1人のユーザーに対して複数の広告主が広告表示の機会を狙ってオークションを行う。Webサイトに訪問したことがあるからターゲティングする、興味関心に一致するからターゲティングする、購入者と同じ属性を持っているからターゲティングするなど様々あるが、基本的には複数の広告主が競合するので、広告表示やクリックを獲得するのに必要なクリック単価は通常高くなる

  2. 今の運用型広告は自動入札が主流になっており、広告主が設定した目標を達成しようとするから、広告を配信しても成果に繋がらないと判断されればそのWebサイトへの広告は配信されにくくなる。(もしくは広告主が配信先として対象外の設定を行う)

  3. ターゲティングができなくなったり、費用対効果が合わないとみられるWebサイトでは広告在庫が余ってしまう。なので次点としてグレーな広告が表示されやすくなる

これはあくまでも自分の中での仮説であるのだけれども、人によるターゲティングができなくなったり、広告枠のあるコンテンツのページの品質が低かったりすると、このようなグレーな広告に接触する機会が増えるように思う。

そう考えると、まだターゲティング広告で訪問したことがあるサイトの広告や、自分の興味関心に合いそうな広告が表示されている方が幸せなのかもしれないなと思う。まぁ、確率論の話になっちゃうのだけれども。

グレーな広告に関する件に関しては、人に対するターゲティング広告が配信できるできないに限らず媒体側の審査の問題なので、G○○gleさんちゃんとやってねとしか言いようがないのが現実。見かけたら報告しよう。

@hyroki1980
役に立たないひとりごとばかりポストする、マルチバースの中に生きている人