17歳の地図

イチコ
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いま私は17歳の二次元アイドルにうっかり足を取られている真っ最中なのですが。

17歳というと、“人は17歳の感性に回帰する”というフレーズがとても印象深く残っている。鴻上尚史さんの「朝日のような夕日をつれて」の中の言葉だったはず。

17歳の感性。

そこで自分の17歳の時ことを振り返ってみると、友だちの猛烈な推薦を受けて銀河英雄伝説を読んだのが高校2年生の夏だった。たいへん面白かったけれども、だからといって、ラインハルト・フォン・ローエングラムが私の感性に何か影響を及ぼしたかと問われると、ちょっと疑問。

音楽は久保田利伸に傾倒していたものの、その後の趣味がR&Bに派生したかというとそうでもなく、渡辺美里やTMNなんかは高校生になる前から聴いていたから、17歳を象徴するものではない。

クラッシック映画を好むようになったのは、これももう少し前かな。

ああ、今の球団を本腰入れて応援し始めたのがこの頃かも知れない。

17歳の感性。

鴻上さんらしい印象的な“感性”のフレーズだけど、我と我が身に置き換えるといまひとつピンと来ない。なのに、この言葉には奇妙な説得力を感じている。

思い出の中の17歳の私はそんなにキラキラしていないし、逆に尖ったところもなく、地味な田舎の高校生。だから当時は青春という言葉はあまり自分には当てはまらないような気がしていたけれど、随分と小さい世界の中で笑ったり悩んだりしていた17歳の私は、それなりに相応に ー 青春の中にいたのか、どうか。

ならばその時の感性はきっと、今からではもう得ることのできない無二のピースの形をして、私の心のどこかのなにかを形作っているに違いない。

感染症の流行で世界が行動を制限していた時、引きこもりが苦にならないオタク気質のいい大人たる私は、若い世代の人たちのことが気になっていた。学生と社会人とでは、流れる時間の速さが圧倒的に違うから。狭い世界を世界の全てとして生きる時代の経験は ー 私のように随分と地味で面白味のないものであったとしても ー 過ぎてしまうと取り戻すことはできないことを、その時間が過去になった今の私は知っている。

心の地図の上で何かを分かりかけている17歳の……と、これは尾崎豊だ。世の中のたくさんの17歳たちの感性がそれぞれに、たくさんの何かを得ることができればいい。

いつかの17歳だった私が、そう願っている。

追。銀河英雄伝説の話題が出たのでお約束。

所属を問われたら自由惑星同盟。

好きな登場人物はダスティ・アッテンボローです。

@ichi_ko15
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