若い頃から大勢は苦手だった。
それでも、人に合わせられるのが特技だと思っていた。
誰かと遊ぶ時も相手のペース。
相手が選んだ映画を観、外食は、2個選択肢を用意しておき、相手が注文したメニューと出来るだけ遠い味のものを注文した。
仕事ではもっと極めていた。
同僚が次に何をしようとしているか見張っていた。
自分の仕事を大急ぎで終わらせて、凹んでいるスペースを埋める役割を買って出た。
接客に関しても、目の前のお客様が望むであろう動きをし、口調も変えた。
中3から働いていたせいか、
中間子のせいか、
相手と自分の天秤を水平に保つ。
そういうこと、自然と身に付いていた。
自分て、上手に生きてる人間!
……のつもりだった。
全部、つもりだった。
あの過去は幻想だったのか、
今は、ギクシャクの極み。
私と合わせるのが大変で相手の足がもつれて躓いてしまいそうになる。
私も同じく躓きそうになる。
人が苦手で仕方ない。
相手が望むモノは見えている。
合わせられなくなった。
合わせるのに疲れた。
進みたい。
寂しくて広々した人生を望んでいる。