3月30日、土曜日。
朝から京都の無鄰菴へ。以前に来たときは曇っていたが、今日はカラッと晴れていて、東山が主山(借景)であるとよく判り感激。満開の馬酔木が香る、春の庭園を散策し、抹茶とどら焼きをいただく。
次の予定まで時間があったので、青蓮院門跡にも立ち寄る。こちらは以前、眩しい新緑の頃に来ていて、そのときに比べてやわらかく、けぶるような色彩の春の庭が趣深い。境内に座ってぼんやり過ごせるのも嬉しい。
京都写真美術館で開催されている『植田正治カラー作品展 - 白い風〜幻視遊間 -』が本日のお目当て。入場無料のちいさなギャラリーだけど、植田正治のカラー写真が拝めるのは貴重な機会。モノクロ写真を通じて感じる、彼の世界観や視点、美学が、カラー作品にも確かに存在していて、褪色しているのもまた幻想的な味わいがあって、大満喫。
五条へ移動して、東本願寺前で開催されているアフリ観フェスへ。こもれび書店さんを通じて知った、トーゴ共和国出身のデアバロさんが仕立てる服、写真で見る以上に色鮮やかで、日本にない模様ばかりで迷いに迷ってTシャツを購入。スーダン料理のランチプレート(ラム肉とオクラのシチュー!)は、未知なのに、どこか馴染み深い味で美味しかった。
烏丸線に揺られ、あおいフェスティバルで大賑わいの北山駅に初めて降り立つ。これまた名前は見聞きしていたが入ったことのない、キョーワズ珈琲で休憩。華やかでコクのある北山ブレンドと、メニューにあったら頼まずにはいられないバスクチーズケーキをいただく。こぢんまりした店舗ながら、コーヒー豆に器具にと充実した品揃え、コーヒーのメニューも豊富で、地元の方がここでペーパーフィルター買いがてら休憩したり、気に入った品種を買って帰ったりするんだろうなぁとワクワクする。
陶板は太陽光の影響を受けづらく、絵画の美しさを保つことができるとアート好きな方に教えていただいて、ずっと気になっていた、京都府立陶板名画の庭。入場料100円で、安藤忠雄の建築と名画が味わえる屋外美術館だった。
陶板だからこそ実現できる展示法(水の中の『睡蓮』!)や、どこを切り取ってもカッコいい建物、何より、両側に人工滝が流れ、周囲のざわめきが聞こえないほどの水音のなか、原寸大の『最後の審判』を鑑賞できるのが、非日常的かつ初めての体験だった。瞑想しているような心地になり、空いてることもあって長時間ベンチで過ごした。
この時点で12,000歩くらい歩いていて消耗が激しく、駅前の進々堂でイートイン。打田漬物とのコラボ商品「すぐきピロシキ」とアイスレモンティーで回復する。すぐきピロシキ、春雨の食感や漬物の酸味が和風のようなエスニックのような、不思議な旨味だった。
進々堂のレストランは混雑していたが、イートインスペースは比較的空いていて、地元の人がのんびり本を読んだり勉強したり。老舗の名店だけあって、家具も安っぽくなく、椅子の座り心地も良くて過ごしやすい穴場だった。
烏丸線の終点、国際会館駅で降り、国際会館のロッジに宿泊。ギリギリまで悩んでいたが、「普段やらないことをやってみよう」月間なので、2日前に予約した。ロビーは簡素だが、宿泊階や部屋は広々していて、モダン建築を臨む立派なデスクもある。必要十分なアメニティ、朝食に無料のプチパンセットとコーヒー・紅茶もあり、何より静かな環境で落ち着く。これで7,000円(宿泊税別)は安いな!
風呂に入って歩き疲れた脚をほぐし、『美の壺』の京都の奥座敷特集を見ながら、駅構内で買った鯖寿司と味噌汁を食べる。鯖寿司、値段を見ず買ったら2,500円したが、肉厚で脂ものっていて、2,500円出した甲斐はあった。
スプリングのきいたベッドでダラダラした後、読もうと思って持ってきたけど1ページも開けていなかったデカルト『方法序説』をどうにか第2部の途中まで読む。大学で人文学の様々な学問を学んだ末に、机上の推論では満足できず旅に出るくだりを読み、現代の大学生にも一定数いるなあと和む。
隣からテレビの音が少し聞こえてきたものの、Loop Quietのおかげで早々に眠ることができた。