句具句会に投句した思い出を残しておきたいな、と、初参加した2024立春の思い出。
句会自体が初めての体験で、自分の句に「点」という明かな評価が下されることに半ば怯えていたが、この句には48点がついた。この回の最高得点は171点だから、決して上位ではなかったのだけど、それでも「良い」と思ってくれた人がいたことが嬉しかった。寄せられたコメントも、「そんなふうに読んでもらえるのか〜!」とめちゃくちゃ興味深く、学びがあった。
ぜんぶ漢字の句への憧れ
奈良七重七堂伽藍八重桜 松尾芭蕉
「桜」を「さくら」とひらいて表記されることもあるが、私がはじめて目にしたのはこの、全部漢字のバージョンだった。
「七重」「七堂」「八重」と数字が重ねられ、奈良七重=エリアの大まかな特定、七堂伽藍=特定の寺の伽藍へズーム、そしてその中の八重桜へ更にズームアップする……という、名詞だけでこのダイナミックな焦点移動の展開を生み出しているのがたまらない……。その憧れで、句作するようになってから定期的に、「ぜんぶ漢字の句」を試してみていた。
また、「ぜんぶ漢字の句」自体との、はじめての出会いは、私が俳句に興味を持つきっかけとなった漫画『ほしとんで』だった。
危機管理室長不在春隣
本田『ほしとんで』3巻 p149
作中の、天才肌の先輩が詠んだ句。自分でも「春隣」を使ってしまったのは、この句が頭の片隅にあったからかもしれない……と今になって気づいた。
イオンで詠んだ
春先に地元のイオンに行ったら、イベントスペースで刑務作業品の展示即売会をやっていた。採光の良い一角で、まだ寒いが、すこし和らいできた日差しに、木工品や革製品、布小物などが照らされていた。
その光景を見て、「刑務作業品展示会」なら字余りだけど中七・下五に置ける!そこに春っぽい季語をぶつけるの良いのでは?と歳時記をめくって、「春隣」ならぜんぶ漢字になるぞ!と選んだのだった。
「詠む」と「読む」
いただいたコメントで、「春隣」を合わせたことに「優しさ」や「あたたかさ」を感じてくださっている方がいて、「むしろあなたの方が優しさやあたたかさを持たれているんですよ!」と思ったし、豊かな「読み」だなあと感じた。
俳句を「読む」こともまた、興味深い営みだ。「詠む」は勿論、「読む」にも、積み重ねや鍛錬が必要で、まだまだ私はどちらの力も足りていない。
俳句を詠むのはあくまでも自分のためで、誰かに評価されたいわけではないし……とモゾモゾしていたが、句会へ参加する意義は評価だけではない!という、当たり前の学びを得た初参加だった。