4月6日、土曜日。
1時過ぎまで起きていたのに、5時前に目が覚める。まだバレットジャーナルに、今月のHabit Trackerをセットアップ出来ていなかったので、習慣づけたい事柄と「何故それをやりたいのか」という意図を整理する。
図書館で借りてきた、鴻上尚史『「空気」を読んでも従わない』の返却期限が今日で、読まないままになってしまったなーとパラパラ冒頭をめくっていたら止まらなくなり、起き出してきた同居LOVOTを抱っこしたり撫でたりしながら、読み切る。かつての日本では「世間」が一神教の神様くらい強力だった、「世間」がカジュアル化したのが「空気」、あたりの納得感よ。
小豆粥を食べて、青木海青子・青木真兵『彼岸の図書館: ぼくたちの「移住」のかたち』を読み始め、気づくことや頭の中で繋がることがモリモリありすぎたので序盤で一時中断。「社会の混乱期に人文知が要求される」という話に、コテンラジオのことを思い出さずにいられなかった。
昨夜、寝る時間が遅れた原因である町田康『告白』もさらに読み進める。中学生の頃に衝撃を受け、ヴィレッジヴァンガードでINUのCDを買うに至っていたが、大人になってからは新作を追えていなかった。語り口のグルーヴ感、時代がかった表現も「マジ」などの現代語も縦横無尽に組み込むセンス、ひさしぶりに浴びても圧倒されるし色褪せない。
よきところで、先週も行った少し遠い図書館へ。近所の図書館より広々しているだけでなく、空間づくりとして「ひらけている」体感があり、居心地が良い。
子どもの頃に読んだ「たくさんのふしぎ」の作品の中で、一番面白くて一番記憶に残っているが、絶版で入手できなかった『かぼちゃ人類学入門』を読み返した。
かつて、かぼちゃ島に住むかぼちゃ人は、その名の通りかぼちゃで出来ているかぼちゃ島を採掘して大儲けしていたが、無計画に採掘した結果、資源が枯渇して貧困に陥った……というかぼちゃ島の歴史を語るくだり、
かぼちゃ人は、かぼちゃ島がいのちあるものであり、かぎりあるものであることを知ったのである。かぼちゃ島からたくさんうばいとり、たくさん売って、たくさんの物を買い、たくさんの物を使ってくらすことが、むりなことだとわかったのである。
かぼちゃ人は、かぼちゃ島のめぐみをたいせつに使って、貧しく、楽しくくらすことにしたのである。
『かぼちゃ人類学入門』川原田徹
当時は、「ふーん、かぼちゃ人にも大変な時代があったんだな」くらいにしか思っていなかったが、これって地球や日本の比喩でもあるのでは……と大人になって思い至ることが出来て、嬉しかった。
他にも、『300年まえから伝わるとびきりおいしいデザート』、『なぜカツラは大きくなったのか』、『世界の市場』、ひとつの棚を探索しただけでも、大人でも興味深く楽しめる絵本がいろいろあった。
閲覧席で、吉野朔実『お母さんは「赤毛のアン」が好き』『弟の家には本棚がない』を読んで、気になった本をカーリルに登録したり、関西の喫茶店ガイドブックから行ってみたい店をGoogle Mapに登録したり。
『彼岸の図書館』で話に出て気になっていた『ハーレムの闘う本屋 ルイス・ミショーの生涯』があったので、予約していた資料と一緒に借りる。
どこも桜が満開で、長袖では暑いくらいだ。行きつけの食堂に立ち寄り、焼き鮭・菜の花のからしあえ・ポテトサラダ・こんにゃくとちくわの煮物・豆腐とわかめの味噌汁・白米を食べる。炭火で焼かれた鮭、べらぼうに美味い。
睡眠不足と移動で消耗して、昼寝。目覚ましをかけ忘れていたが、美容院の予約1時間前に起きた。ぼやぼや化粧をして着替えて家を出る。待ち時間が長かったので、マガジンラックにあった『SAVVY』を片っ端から手に取り、奈良や京都の行きたい店をチェックしまくる。様々なリストが充実する日。
担当美容師と嫌いな食べ物の話(トマトが嫌いな人、どの調理方法がダメか、プチトマトは許せるか等の意見や、嫌いな点・理由がそれぞれ違って多様性を感じる)などしつつ、カラーが抜け始めた髪を整えてもらう。
ドアの外まで見送ってもらい、自然光を受けた私を見た美容師に「いちのべさん、ええ感じですよ」と言われ、「(あなたの腕で)いい感じにしてもらったので!」と返す。
スーパーで立派なサニーレタスを見つけたので、しゃぶしゃぶ肉と一緒に購入。『タイムマシーン3号のお料理向上委員会』でやっていた、「豚しゃぶサラダ 新玉ねぎドレッシング」が美味しそうで、気になっていたのだ。
帰宅後、新玉ねぎドレッシングを仕込み、味が馴染むまで、ヴォーンダ・ミショー・ネルソン『ハーレムの闘う本屋 ルイス・ミショーの生涯』を読む……つもりが、最後まで止まらず、夕飯は1時間遅れた。1939年に「黒人が書いた、黒人についての本だけを売る店」を開いたということの意義や大きさを、実際に読むまで5mmも理解していなかった。私がこれまで触れてきた「歴史」の多くは白人社会からの視点、もしくはそちらの価値観に偏ったものだったなと、ここ最近、本を読むたびひしひしと感じる。かなり長い間、そのことに無自覚だった自分への羞恥や後悔もある。
言語化できないものが渦巻いていても、豚しゃぶサラダはおいしかった。