今日はスタートアップCEOのパフォーマンスが最大化する働き方を考えるにあたり、漫画ハイキューを参考に考えてみたい。
ところで皆さんは、漫画ハイキューをご存知だろうか?いま映画も公開されていて、人気の漫画である。かつて強豪だったが今は弱い烏野バレーボール部に、日向翔陽という身長は低いが、高いジャンプ力と強い向上心を持った小さなアタッカーの主人公と、別のバレーボールチームで、チームを引っ張っていたが、自分の理想のバレーを追求するあまりワンマンプレイを連発し、孤立した天才セッターの影山飛雄のW主人公が烏野バレー部に入り、全国大会を目指す物語である。
チームメンバーたちは、主人公日向翔陽のあまりに強い意思に感化され、自分の弱さと向き合いながら、競合たちと戦っていく姿が描かれる。心理描写を丁寧に書く作品で、多くのファンが居る作品である。
そこで今回は、日向翔陽を参考に、スタートアップCEOのパフォーマンスが最大化する働き方を考えてみたい。
日向翔陽のすごさ
まずこれは敵チームの選手が日向翔陽を形容する描写である。
日向翔陽のバレーへの熱は、メシと同じようなものであり、毎日食べたくなる熱と同じである。腹いっぱいになっても、もうメシは要らないと思っても、次の日にはまた食べたくなる。メシを食うたびに幸せを感じるように、彼はバレーをしている。
基本的に日向翔陽は、それらを行動で体現する。バレーのことしか考えていない。本作品では、それを才能として描かれる場面が多い。そういった才能の塊たちの戦いがハイキューでは描かれる。
ハイキューと我々の違い
達成したいことに多くの時間を投下することは、結果を出すために有効な方法である。ただ彼らの戦いとスタートアップの戦いの違いがある。日向翔陽は仮説検証に時間しか消費しないが、スタートアップは時間とともにお金がなくなる。Saasならセールスの人件費だし、C向けサービスならマーケ費用となる。赤字を掘りつつ進めていると「飯食うみたいに練習に時間を投下」することよりも「貴重な時間を正しい練習に投下出来ているか」ことの重要度が上がる。もし彼らのスポーツの化け物も、練習するたびに、故障することが決まっているなら、練習の質を、これまで以上にシビアに考えるはずだ。我々スタートアップはまさにそうである。CEOはエグゼキューションの質の追求こそである。
ではどうエグゼキューションをどう高めるのか?
日向翔陽が大きく成長したタイミング
日向翔陽は、もともとジャンプ力が桁外れに高く、アタックの早さは武器のひとつであった。ただレシーブが苦手で、レシーブの技術はなかなかにあがらなかった。そこで彼はレシーブ力をあげるよりも、ほかのアタッカーがアタック前にどう動くのか?を見るようになる。これは学生が集まる選抜合宿で、彼は選抜されずに、参加できなかったのだが監督にお願いし、球拾いとして参加することになる。そこで彼はバレーを俯瞰で見ることを学ぶ。これまでいかに高く飛ぶしか頭になかった彼が、バレーの所作のひとつひとつを見ることになる。それから彼の成長速度が飛躍的に早くなる。日々のなにげない所作ひとつひとつから学び、考え、実践するようになっていく。これがエグゼキューションの質である。
スタートアップで出来ることは限られている。LinkedInの創業者 リード・ホフマンは「スタートアップは崖から飛び降りながら飛行機を作る」ことと言った。もちろんアメリカ的なハリウッドナイズされた比喩のひとつだろうが、ある種スタートアップ的な空気をうまく表していると感じる。時間の制限のなかで、仮説と学びと実証の手数をいかに早くするか?そしてそれは飛行機を組み立てることにどれぐらい寄与しているのか?ついつい我々は飛行機を飛ぶ目的ではなく、飛行機で快適にすごすための行動をやっていたりする。そのためにひとつひとつの所作がエンジン作りに寄与しているのか?を考える必要がある?もしくはエンジンからのエネルギーの伝達について考える必要がある。そべての行動が何らかの意味に紐づいている必要がある。その中で、2%ぐらい脳のリソースを、飛行機が飛んだあとのことも考える必要がある難しさがある。とりあえず飛ぶが目的だが、最終的にどこまで飛ぶんだっけ?って考えるのが、またエグゼキューションの難しさである。
そこにもコツがある。それが振り返りの機会の入れ方である。
振り返りの機会を増やす
もともと我々のチームはOKRを採用するか検討したが放棄した。振り返りのタイミングが遅すぎるのである。間違ったエグゼキューションを進めると、とんだ方向まで間違って行ってしまうので、それをいかに早く修正するかである。
振り返り機会は、毎朝である。毎朝、自分の昨日の仕事を棚卸し、どれが飛行機ワークで、どれが座席ワークをしたのか考える。そして今日なにをするのか?飛行機を組み立てるワークに最善の一手を考える。
ただ自分の振り返りだけではよく、相互フィードバックである。共同創業の津守くんと、互いの仕事を飛行機ワークだったのか確認し、来週のワークが飛行機ワークなのか、確認する。そしてたまに雑談で、この飛行機が完成したら、どこまで飛ぶんだっけ?と月に1度ぐらい話し合うようにしている。
活力が減らない注意
あと日向翔陽のように腹が減りつづけて仕事をするのは難しいが、メシを嫌いにならない努力も必要である。
僕は自分が毎週に何に時間を投下しているのかをGoogleカレンダーで色付けしているのだけど、その中で、自分が何に緊張して、今週どれぐらい緊張したのかを知るようにしている。また緊張の疲れは何をすれば回復するのかを考える。
疲れても仕事をやる意味はあまり無いので、そんなときは昼で切り上げても、休むべしである。僕のようなワーカーホリックはわりと休まずにワークしてしまうのだけど、戦いは長期戦である。やることを正義にしちゃうと、それも言い訳に使えちゃうので(僕は休まずに頑張っているという言い訳)それよりもエグゼキューションの質を高めるために、活力が減らないように注意したい。寝る前に「あーあしたも早く仕事したいなあ」と思いながら寝れるかを、自分活力のKPIにしている(怖いかもしれないが、わりと、その心境である)
なおこれはスタートアップ的なシリーズAまでの化け物と戦うときであり、もう少し平時の戦い方は別である。振り返りのタイミングもある程度で良いし、OKRが有効に機能するとも思う。というわけで、ハイキューのキャラのようなモンスターのような腹減りモンスターと我々凡人が戦う方法でありました。
毎日と定例で振り返りの時間を作り、疲れを軽減しつつのハードワークのススメちっくなエントリー。スタートアップをするのは大変だと思いますので、皆さんのご無事と健闘を祈ります。