VCとはじめて話すスタートアップの心得@IVS編

Watt_inoue
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公開:2024/7/9

自分の学びを全スタートアップに貢献したい井上です(学びをすぐにアウトプットしたいだけ)今回IVS2024KYOTOで会いたい人が居たので急遽参加。行くなら目的達成を最大化したいので、目的を策定し、アタックしてみた結果を皆さんにシェアします。来年のIVS参加させるスタートアップの方のネットワーキングの参考に。

地方スタートアップの苦戦から

大阪でスタートアップをしていると東京スタートアップコミュニティに入れない苦悩がある。この苦悩の不利は2点あって「目標のストレッチ基準が分からない」「不可逆なエクイティ調達の相談相手が居ない」の2点で不利である。

ただ私的に、ネットワークは、求めば扉は開かれると思っている派であり、必要であれば、手段を選ばずにアタックすれば何とかなることが多い。というわけで、今回はIVSを、ドアノックの場とさせていただく。

目的の策定

IVSで会いたい人は3人居る。ただ弊社はアーリーであり(チームあり、プロダクトあり、仮説検証ナウ)まだ資金調達の予定は無い。ただ大きなチャレンジをすると決めていたので、シリーズAに向けてのコミュニケーションを取っていきたいのと、今の弊社のサービスのチャレンジがVCからどう見えるのか?が知りたいという目的もあった。ただ著名な方はそのネットワークの渦中にいて、なかなか会えないので、そのつもりで。

IVSに行くのを決めたのが、IVS開催の3日前ぐらいだったと記憶。そこから高額なBusinessPassを買って(NEXTPassとの差が分からなかったが、3日の投下時間から考えて、BusinessPass一択である(来期IVS行く人に言うと、可能ならBusinessPassがおすすめである。入れるエリアが制限される。NEXTだと目的達成は出来なかったと思う)京都のホテルを2泊とって、会社の予定をリスケさせてもらった。

会いたい人の予定を把握

話したい人のTwitter、登壇のタイムテーブル、当日の会場の予想(大きすぎて出来なかった)をし、どのように動くのかを設定。2泊3日の予定をまとめる。次に会う確率を高めるために、short番のプレゼン資料を作成し、VCの多くは忙しいと予想し、1分30秒程度のピッチ動画を作成。つぶやくごとにフォロワーが1人ずつ減るで有名の井上Xを再起動(Xが苦手だ・・・)しDM投下。会いたかった人から即座の返信!まさかの!

そしてお会いできる人以外にも、話したいVCの方をリストを作る。これはスタートアップ側の気遣いとして、ベクトルが違うVCさんにはお声掛けしないことではないかと思う。(当日のお声掛けは判断が出来ないのでスイマセン!)相手の貴重な時間をいただくことになる。

僕としてはWattでは大きなチャレンジをしたいので、以下に設定した。

IVSで事前にメッセージするVCの判断基準

  • 投資ステージ(シリーズA)、チケットサイズ、ファンド満期、投資領域

  • ポートフォリオを見て、投資先とバッティングしない?の確認

  • (願望)人生で最高な協力者が居るのは大事で、リードしてもらうとして、どれぐらいの人で、経験が欲しいか基準をもとにジャッジ。

  • ファンドのサイトを見て、キャピタリストのSNSから方向性が合いそうか。

  • (しなくていいかも)ファンドの一番のタレントの名前と動画を全部見る(スタートアップTVとPIVOTとファンドのyoutube)。VCは個人事業主みたいな仕事であり組織でもある。タレントがメディアで話すことで、ファンドの「感性」と「論理」のBalanceが分かる。

  • ファンドのビジョンとバリューは確認(それに向けてプレゼンするためだが、これはやったが笑いが起こるだけで、あまり要らなかった。)

事前準備

事前準備としてはシリーズAに向けてのコミュニケーション相手に「何を壁打ちするか?」をまとめておく。今後何を「コミュニケーションするか」もまとめておく。

次にIVSの参加者を見たところ1万人は超えるとのことで、2000人は起業家だろう。その起業家にVCはコミュニケーションを仕掛けられるわけで、まず記憶するのは不可能だろう。ということで、インパクトが必要だと思って、どうしようかなと考え。ベタだが「サービス名とQRコード」の紙をコンビニで印刷し、Tシャツに貼り付けることにした。表と裏。恥を書くために、電車でも外さないルールにしたが、これは意味ないな。ただ恥ずかしいのな!

ただこれぐらいどの起業家でもやるだろうなーと思ってたけど、誰もやってなかった。なぜ?ダサすぎるから?ってかプロダクトが無くパワポも無いスタートアップも居て、それはもったいないのではないか?と。コミュニケーションコストを下げるために、パワポに働かせて、Figmaベースでいいので、プロダクトデモを作った方が良いように思う。いかにズレないコミュニケーションをするかが肝要に思う。というわけで、本気を出せば、デモならノーコードで2日で作れると思うので、作ってみて参加するのをおすすめしたい。相手の貴重な時間を貰うのに、本気度を示すのは相手への誠意ではなかろうか。

当日のVC声掛け

声掛けはみなさん、本当に優しく、ご対応いただいた。事前アポは数人しか取っていないので、急に話しかけてるのがほぼ。海外の人が居て、間違えてて、アジア地域VCの方にお声掛けしまうことが多々(良い日本のスタートアップ居ましたー?みたいな雑談で逃げようとするも、めっちゃ話しかけてくれるという→どんなサービスなんだ?それインドネシアで使えるよ!とか)

スタートアップ側として、いろんなVCさんと話し合えるこんな機会は無いし、いろんな観点で壁打ちするべきに思う。僕は始めと終わりでは、全然違うコミュニケーションに切り替えていた。

スタートアップCEOは、VC担当者とは長くご一緒になることになると思うので、相性チェックは大事であるが、相性ってなんだ?という人向けに以下のチェックリストでご確認するのはいかがだろう?

  • アドバイスの質をどのように判定するか?

    • 一般論化したアドバイスを貰うことは多い。それを貰いたいかどうかはひとえに相性のひとつに思う。僕はYコンが好きだし、東大の馬田さんの本は全部買って熟読しているし、磯崎さんも好きで、みたいなところでアドバイスを貰った場合、前提の共有を僕はするようにしてて、それでも一般論のアドバイスだと、相性は悪いかもと判断していた。

  • 一緒に考えてくれそうか?

    • 前提、変数を共有し、一緒にISSUEに取り組んでくれるか?について確認するのはひとつである。VCの方が圧倒的に知識があるのは、ケーススタディである。ケーススタディの引き出しを出すにあたり、どの変数の共通項からケースを引用してくれるかも、相性のひとつかもしれない。

  • 質問の質について

    • 何を聞くのか?で相手の興味が分かると思う。VCからの質問で、そんな観点もあったのか?と思う質問をもらうこともあって、それだけでもIVSに行った価値あり。あと質問を何度ももらうところは、自分の説明が悪いんだろうなーと気付けるのでブラッシュアップ機会もあわせてである。

本当に素敵なVCの方が居て、お相手がどう思ったか分からなかったが、普通に仲良くなれると思える人に会えた。領域的に投資出来ないけど、仲良くしたい!と言ってくれる人も居て、リップサービスかもしれないが、ありがたやー!(わりと二日目、三日目も仲良く話してくれた人も居て、ありがたかった)

スタートアップの心得

あくまで課題の質も、仮説も、事業解像度も起業家が握るべきものに思う。ただVC視点で、市場がどう見えるのか?取り組む課題についてどう感じるのか?はVCしか知り得ない情報である。資金調達をしたことが無いが、予想を立てるに「未来、数値出たら連絡してもいいですか?」の同意を取る→「数値が出てくる」→「これってPMFと言えますか?」のコミュニケーションをする。

次に「PMFじゃなかったら、次のマイルストーンの数値と、次の仮説検証の内容」を一緒にすり合わせてしていく。PMFだったら、定性的な情報の確認になるわけで今後の資本政策や、事業計画や、ロジック部分の情報をもとにすり合わせて、スケール可能性についてのコミュニケーションが始まると予想。シリーズAの事業計画であれば、多分KPIの策定と伸びが最重要かなと思う。ユニットエコノミクスもそこまで数値が出ているのか不明だろう。

そういったところで、コミュニケーションは点ではなく、線であり、次へ次へと繋げていく必要がある。恋愛で言えば、初めてあって、デートして、次のデートをして、毎回、面白いねを作っての、付き合おっか?であります(なんか書いててキツイな)

会いたい人に会うまえに、深呼吸せよ。

会いたかったVCの名前をここで書きにくいが、会いたかったもう1人は、NStockの宮田さんである。ファンであり、サービス名と会社名を揃える話、RHYMESTER好きな曲被りまで話せるぐらいである。年末年始長く休みを取られた!話や、NStockのセカンダリー事業をなぜやるのか?まで話せるわけであります。ええ、もう一度言うと、ファンであります!

最終日の3日目で宮田さんの登壇終わりに(べスティング条項の話しがとても参考になった)、深呼吸せずに話しかけてしまって、もうかかりにかかって、危ないファン感を出してしまうという「あの!井上といいます!めっちゃファンで、ラジオ聞いてて、昨日Twitterで、◯◯さんのところでご飯食べられてて、僕も飲食DXで!」とかもうはっきり言って怖すぎて、僕は宮田さんの隣にいらっしゃられた人の顔を見れないぐらいに掛かってしまった。ただそれでも宮田さんは「メール見てないので、Facebookで連絡してくれたらいいですよ!」と言って、グッドのサインで笑顔という、この宮田さんLINEスタンプ出たら、絶対買う!と思う優しさである。マジで話しかける前に深呼吸が大事。大阪スタートアップのたこ焼き感が出すぎた瞬間であります。たこ焼きだけじゃなく、串カツもウマいんだかんな!

最後のお礼

自分が一番苦手なのが、お礼メールである。相手もめっちゃお礼メールが来てて、鬱陶しいだろうなーと思いつつ、まあ記憶に残ってもらう程度で、今回の学びを「notion」にあげて、今回のアドバイスで、自分が受け取ったことを言語化し、次の仮説検証を書いて、次のアクションをまとめて投下する。あと顔も覚えていられないだろうから、顔写真のnotion送付も忘れずに。である。

IVSでの反省

初日のフィードバックでVCの方から言われる質問はわかったので、当日時間を作って、パワポをブラッシュアップすればよかったなと反省。もう1打席分の学びに変えられたのではないか?と反省。エグゼキューションの質のみがシードCEOに求められる資質だろう。

あと私的に井上のキャリアで「京都の山に3年こもってた」話しがウケることに気づくという。あまり話さずにVCと話していたが、井上のプロフィールを読んでくれる人が、「おもしろっ!!」みたいなリアクションをいただき、自分としては、コスった話しで、もう味がしない話しでありまして。これをすっかり忘れてて、ここで強く僕に興味を持ってくれる人も居て、もう少しそこを話せばよかったなと。その後はほぼ全員が山の話しに興味を持ってくれた。別のVCの人に「山ごもりの人」と紹介してくれるという。

総論

人生で精神が一番疲れた3日であった。ネットワーキングが得意な人、強い。本当に疲れて、終わって2日ぐらい経つが、まだ疲れておる。ただ目線が上がったのも確かである。事業の数値を作る必要があるなと。気合が入って、ちょっとプロダクトと顧客に向き合います。半年ぐらいこもって(事務所に)数値を出したい。

あとIVSの運営の人は本当に凄いと思う!ネットワーキングの作り方や質、やり方、ともに完璧であった。もちろん言えば色々あるが100点だと思う(120点にするなら、椅子と席がもうちょい欲しいのと、Wi-Fi強化かなと思ったが、人数的に無理だろこれ。って思った)

IVSの運営からスタートアップは多くを学ぶべきではないか?と思った。UXの本気を見た。運営の人が書いたノウハウの本があれば、絶対に買う!noteで出さないかな。

:自分のCEOとしての胆力を確認せよ

自分がいかに目的ファーストで動けるのかを確認するチャンスでもあった。

VCネットワーキング会場手前に元AKBのコジハルさんが居たけど、横目でスルーであります。優しそうなVCには声をかけず(シードなんてダメ出しをもらってこそ)アラフォーからアラフィフな人とお話する。自分がいかに目的マシーンになれるかの確認である。

そしてCEOの胆力も試される機会が多くある。おざーんこと小澤さんが1メートル先にいらっしゃって、僕井上のお腹に貼ったチラシを凝視するという!瞬間があった。チラシを凝視し、首をよこに傾けて「なにかね、これは?」という顔をされる。「やばい・・・斬られるっ!」と思ったが、いつもの笑顔に戻って去っていった。まだレベル5ぐらいのCEOでは覇王の覇気だけで圧倒された瞬間でもあり、挑戦の壁は大きいなと感じた。良き学びである。

というわけでIVSみたいなお祭りは、たまにで良いのだけど、とても楽しかった。隙間に登壇やイベントも参加し、学びもあった。

なお夜のサイドイベンドは、軽く顔を出して、会いたい人が居るかどうかだけ見て、居たら名刺だけ交換して、ホテルに移動した感じである。(疲れ果てて、もう何も出来ず)関西の人もホテルとったほうが良いと思う。マジで疲れます。(あと会場にフードエリアあるので、メシの心配不要。だがネットワークに忙しすぎて、カロリーメイトとかで十分かも)

@igoue
C向けのサービスをよく作ります。誰でも自分の居場所が見つかるサービスを作っています(好き:みてね、タイミー)Watt_ceo@inoue