CEOが自分で使わない自社サービスについて

Watt_inoue
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これまで自分はメンズ洋服のサブスク「UWear」の事業運営をしてきた。

UWearは月額で洋服をレンタルできるサブスクサービスだ。スタイリストが使いたいシーンにあわせて、コーディネートを考えて提供する。LINEを通じたコーディネートの相談までパッケージとしてフォローしている。肝心の洋服作りも、みんなで1から立ち上げからやった。途中から僕も参加し、大手アパレルメーカーで洋服作りしているデザイナーの方、商社の方やほかの繊維系メーカーやアパレル企業と一緒に洋服作りをしていった。洋服の品質も年々良くなってきている。以外にもお客さんへのLINEの相談内容や返答方法もスタイリストと返信シミレーションを社内でやり全フィードバックをやった。毎月スタイリングの社内勉強会もやっている。

もちろんビジネスサイドのチャレンジも多い。通常のアパレルのSKU管理は色・サイズである。だがレンタルは一点一点である。ひとつひとつの状態を細かくチェックし、個品管理と、レンタルアイテムを綺麗に回るオペレーションが出来上がっている。事業を永続させるためにAランクとBランクを分けた。Bランクの場合、安く買える仕組みにしたり、シーズンで洋服を交換しない人には、持ち続けることで割引になる施策も入れた。以外にも大変なポイントをあげればキリが無いが、メンバーみんなでサービスを作り上げていった。最初以外の直近1年はサイトのデザインやコーデイメージ、サイトの写真、毎月のお客さんに送る「雑誌」、Youtubeの企画構成やオウンドメディアの記事の品質も全て自分が細かいところまで入ったと思う(誰かと一緒に立ち上げて、立ち上がったら誰かに任すスタイルでやってきた)

そんな思いで細かいところまで詰めたサービスではあるが、自分ではUWearを使っていない。

理由はシンプルだ。自分が洋服が好きなのである。僕は服には詳しくないが、シーズンにネペンテスに行ってガーメンツの新作を見て、シルバー&ゴールド(接客が素敵!)をふらっと寄るぐらいには洋服が好きだ。今期はgraph paperのセットアップを買った(高かった)

これは自分にとってはサービスを作るCEOとしてコンプレックスであった。自分は、寝ても覚めてもそれを考えるテンションで事業を作るのが好きだが、UWearはそうではなかった。休みの日に、コーデアルゴリズムを考えていないし、最新の服のデザインを考えてはいない。

それでも、もっともっと良いコーデを提供するには、洋服の質、コーデの納得性、提供するメッセージを永遠にブラッシュアップ続ける必要がある。自分がここに情熱を投下しつづけることは出来ないと思い、今アパレルに強い熱があるスタッフを中心に改善する体制に変わった。僕は経営者的にビジネスサイドのフォローに留めている。リニューアル前後はMRR苦戦したが、今のMRRは去年日110%で微増で、CFは向上している。

もちろん話は次である。反省を教訓に。

いまチャレンジしている飲食店向けのビジネスは本当に自分が心からやりたいと願っている事業である。寝ても覚めても、ユーザー体験を考えており、昨日も寝ていたら体験についてのアイディアがひらめいて飛び起きてしまった。自分で画面の遷移図を作成し、ジャーニーマップに、ボタン、配置、通知の意図を書いている。そのサービスを日常に溶け込ますように自分で使う。友達だけじゃなくて、先日は父親と一緒にサービスを使ってもらった。自分が体験し、お客さんを想像し、パートナー企業を想像する。

自分のビジョンから逆算してひとつひとつの機能や体験にズレが無いかを考える。考えた機能をすぐにFigmaで作り、飲食店に意見を貰うというフローである。飲食店のFBをもとに実装するかを考えるサイクルである。

一生、こんな体験磨きが出来たら幸せだろうなーと思いつつ、自分はCEOであるので、次は違うことをする必要がある。まずは全スタートアップの願い「PMF」である。ただそれでも、この体験磨きに時間をかける情熱があるかどうかが、スタートアップのCEOとしての何よりの資質のように僕は感じる。仮説が外れても楽しい試行錯誤と思えるのである。というわけで冒頭の「CEOが自分で使っていないサービスについて」というのは、自分に当てたメッセージであった。

ここでふと法人のサービスをやっているCEOはどうなんだろう?自分で使わないことは多いはずだ。ただそういう法人の業務改善系のSaasでアタックして熱量がある人を見ていると、ISSUEを解決することに喜びを感じているように感じる(数学の問題を解くように。詰め将棋を解くように)そしてその改善を現場にすぐに行って改善を回して。それは僕から見ると羨ましいことである。違う人はチームで一緒に頑張ることに喜びを感じているようにも見える。

自分の熱量が高い環境に常に自分の環境をアップデートすることは、自分が一生こだわりたいポイントである。自分はいま熱量が高いのかな?とは常に自分に問いたい設問だ。

@igoue
C向けのサービスをよく作ります。誰でも自分の居場所が見つかるサービスを作っています(好き:みてね、タイミー)Watt_ceo@inoue